■ 液体培地, Middlebrook 7H9 brothでの結核菌培養
【質問】結核菌の培養につきまして, ご教示いただきたく存じます。CDCの勧告に基づき, 液体培養の有用性が報告されています。液体培養を行った場合, 従来の小川培養は無用と考えてよろしいのでしょうか?あるいは併用するのが望ましいのでしょうか?
 

【回答】結論としては, 小川培地で代表される卵培地を併用します。確かにMB/BacT, 3D, MGIT 960など, 液体培地 (Middlebrook 7H9 broth)を用いる培養系ではそれ単独で, 従来からの小川培地法と比べ30%程度の分離率の向上が期待されます。しかし液体培地で分離されず, 卵培地でのみ分離される抗酸菌も存在します。ひとつの対象微生物を複数の異なる方法で検出することは常に分離率を高める効果があります。しかし反面, いくつかの異なる分離培地を用いることは経費の面から限界があります。豊かな施設ではできるだけたくさんの異なる培地を使用することが勧められますが, 経費で限界がある場合には, 基本を液体培地とし, 経費が許す範囲で組成の異なる卵培地を使用することになります。琉球大学では, 液体培地としてMB/BacT, 卵培地ではビット培地を選択し, これら2種類の培地にすべての検体を接種して培養しています。

(琉球大学・山根 誠久)

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