2000/12/06
■ 抗酸菌塗沫染色における検体の剥離防止
【質問】国立○×病院の臨床検査技師です。教えていただきたいことがあり, メールさせていただきました。
 抗酸菌の塗抹検査についてですが, 新結核検査指針ではNALC−NaOH処理後の検体をスライドガラスに塗抹する場合は, 剥離しやすいためタンパクやアルブミンなどで防止することとされています。実際行ってみますとこれらの防止剤でも剥離するような感じを受けます。従ってシランコートされたスライドガラスやアルコール(メタノール)固定などで防止できないか考えています。これらは, 抗酸菌に影響あると思われますか?

【回答】シランコートスライドグラスは主として病理組織切片の剥離防止のために開発されたもので, 病理の領域においては有用であると考えてられております。本スライドは3-アミノプロピルトリエトキシラン(水素化ケイ素)の重合物が用いられています。シランは疎水性であり, ガラス表面とシリカと有機ポリマーの間に有機反応シランとなり結合します。組織との粘着力が強く, 耐熱性に優れ, アルカリに対しても安定です。また病理組織染色に多用されるヘマトキシリンエオシン染色や, 過ヨウ素酸アンモニア銀染色などでは, 良好な染色性とともに背景の共染がないことが確認されています。抗酸菌染色でも有用であると推測されますが, それに関する成績は報告がないためはっきりしたことは言えません。
 また, メタノール固定は全く問題はないと考えられます。

(京都大学・一山 智)

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