00/11/21
■ MGITの培養で抗酸菌のようなものが観察される, でも光らない???
【質問】 現在, 小川培地とMGITを併用していてMGITの方は目視判定しています(自動測定機器がないため)。培養8 週間まで見ていますが, 陰性検体の中に, 管底にコロニー(白い塊)の様な物ができていて, アキュプローブにかけるとTBに出るものがあります。この様な検体はどのように考えたらいいですか??? TBの治療をしている方に稀に見られます。

 また, MGIT 陽性後, 塗抹鏡検で極わずかの抗酸菌と別の球菌や桿菌が見えるとき, 再度分離培養していますが, そのまま最終週(8週目)まで光らずに終わってしまう検体があります。8週間培養後の塗抹鏡検ではやはり極わずかの抗酸菌が見えますが, 同定キットにかかるほどの菌量はありません。この様な検体は, 臨床的にはあまり意味のない物なのでしょうか???(培養陰性の報告でよいのでしょうか???)

【回答】 質問にお答えします。
 実際に抗酸菌の発育があるのにMGITで発色しないケースですが, なぜかということははっきりわかりませんが, 私どもの初期の検討でもまれみられました。一つの可能性として, 培養途中で開栓したことがあったのですが, そのためチューブ内の酸素濃度が上昇し発色しなかったのではと推測しています。しかしながら, 発色の有無に関わらず発育コロニーがTB と同定されたならば, 陽性所見として臨床に報告すべきです。また, 同定キットにかからないほど少量であれば, 保険には認められていませんが, PCRを行ったらいかがでしょうか。そこでTBまたはMACと同定されたならばその旨陽性所見として報告すべきでしょう。

(京都大学・一山 智)

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