02/11/05
■ 尿から分離された非結核性抗酸菌
【質問】
 尿中より, 非結核性抗酸菌を塗抹検査により検出しました。PCRではヒト型, MAC共に陰性です。臨床的にも腎結核を疑う所見もなく, 尿中の抗酸菌をどう考えればよいのでしょうか???

【回答】
 私自身, 尿から非結核性抗酸菌を検出した例は過去1年半で5例しか経験がありません。はっきり言って難しいです。膿性尿で淋菌が陰性のときには要注意です。結核菌の尿は酸性無菌性膿尿が特徴です。尿より抗酸菌を検出したら, 腎臓だけでなく, 他の臓器も検索されることが肝要だと思います。[例: 婦人科検診で膣炎を疑われ, 尿沈渣が抗酸菌染色塗沫陽性で, 婦人科細胞診で抗酸菌を疑い, 精査したところ, 子宮内膜より結核菌を検出した]

 尿沈渣での抗酸菌染色塗沫検査は, 臨床的に所見がなく, 既往歴もなければ, 判断が難しいと思います。ただ, 尿道口(陰部)が不潔な場合には抗酸性に染まる菌種がありますが, 普通の培養法では発育してきません(検体の前処理で死滅すると思われます)。非結核性抗酸菌であれば培養で必ず発育してきます。

 尿の抗酸菌検査をする場合には, 患者背景の既往歴(結核症・膀胱癌など), 性別, 年齢, 患者の容態(臨床症状, 婦人科疾患, 寝たきり)などを勘案して検査されることが重要です。また, 早朝尿, 中間尿(あまり期待できない), 24時間蓄尿(雑菌が多くて判別が難しいですが, 培養には適しています)のいずれかを3日間連続検査を行って判断されるのが妥当です。

 要は, “尿が膿尿か否か”, “連続検査で陽性が確認できるか”というふたつが重要です。

(国立都城病院・斉藤 宏)

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