04/07/13
■ 結核患者と同室の非結核性抗酸菌症 (NTM) 患者
【質問】
 非結核性抗酸菌症 (NTM) はヒトからヒトに感染しないのはよくわかました。しかし, NTMと診断がつくまで, PCR法が陽性, (+) であれば, “結核と疑って”入院となリます。そのとき, ガフキーが出ていれば, 結核患者と同室に入院させることがあるのですが, その場合, 後でNTMとわかっても, 数日間結核の患者と同室にいたことは問題にならないのでしょうか??? 結核が移らないとも限らないと思うのですが・・・教えて下さい。

【回答】
 抗酸菌の診断で, PCR法には結核菌用(TB)と非結核性抗酸菌用 (NTM)のふたつの別々の方法があり, TB-PCR法ではNTMが陽性になりません。逆にNTM-PCR法ではTBは陽性になりません。ですからTB-PCR法が「陽性」であれば当然, 結核を疑い入院となりますが, NTM-PCR法が陽性の場合には塗沫鏡検 (抗酸菌染色) 検査が陽性でも患者の病態が悪くなければ外来治療でよいと思われます。 顕微鏡検査が陽性で, NTMと診断がつくまで (結核でないと診断がつくまで) にそんなに時間がかかるわけではありません。

 ただ患者の既往歴に, 結核の既往がある場合はTBとNTMの混合感染も考えられますので, 入院して培養検査の結果を待ちます。PCR検査法も100%ではありません。菌の量が少ない場合には陰性となります。この場合でも, 結核患者と同室のことですが, TBとNTMでは共通する抗結核薬を使用しますので, 特に問題はないと思われます。

(病院機構都城病院・斉藤 宏)


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