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【質問】
突然メールを差し上げ失礼いたします。弊社ではある製品が食品衛生法で粉末清涼飲料に該当する商品がございます。当然,
法律に則ると, 大腸菌群検査は“LB法”で行わないといけません。しかし調査の結果,
この“LB法は日本独自の検査方法”ではないかと思うようになっております。というのは,
海外原料を購入するに当たり, 大腸菌群保証の話となると, 海外の原料サプライヤーでは大腸菌群ではなく“腸内細菌をVRBD法で測定”しており,
LB法や大腸菌群の話を聞いたことがありません。毎回ここで問題が発生するのが,
腸内細菌の中にすべて大腸菌群が含まれるのかということです。海外サプライヤーは腸内細菌の中に大腸菌群がすべて含まれるとのことですが,
名前は忘れましたが, 腸内細菌に含まれない大腸菌群の種類があったように記憶しております。実際は,
私が記載しているように大腸菌群の中には腸内細菌に含まない種もあるのか, ある場合はその種の名前をご教示ください。また,
海外に詳しく説明する為にも“腸内細菌と大腸菌群の関係”をお教えください。以上宜しくお願い致します。
【回答】
“Compendium of Methods for the Microbiological Examination of Foods,
Fourth Edition, American Public Health Association”を参考にして回答いたします。腸内細菌は細菌分類学的専門用語で,
大腸菌群は食品衛生の中で使われる用語です。ヨ_ロッパでは, 腸内細菌を指標として食品衛生を管理してきた経緯があり,
大腸菌群が米国における食品衛生管理に用いられている経緯があります。Mosselらは,
食品検査にサルモネラなどの乳糖非分解菌を検出できるためブドウ糖分解菌をタ_ゲットとした腸内細菌検出を推奨しています
(Mossel, D.A.A., et al: The examination of foods for Enterobacteriaceae
using a test of the type generally adopted for the detection of Salmonella.
J Appl Bacteriol 3, 444, 1964)。食品由来の腸内細菌として, Citrobacter,
Enterobacter, Erwinia, Escherichia, Hafnia, Klebseilla, Proteus, Providencia,
Salmonella, Serratia, Shigella, Yersiniaなどがあります。大腸菌群は,
偏性好気性または通性嫌気性のグラム陰性無芽胞性桿菌で, 乳糖を分解し, 酸とガスを産生すると定義されています。腸内細菌科ではなく,
検査上大腸菌群に入ってしまう細菌として一般的に知られているものにビブリオ科のAeromonasがあります。大雑把ですが,
腸内細菌科>大腸菌群>糞便系大腸菌>大腸菌(E. coli)という関係です。その中にAeromonasのような例外があります。
(日水製薬・小高 秀正)
【質問者からのお礼】
ご返答ありがとうございました。回答の内容で, 小生が悩んでいたこと等が解決いたしました。ありがとうございました。
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