|
【質問】
食品微生物検査を担当しています。大腸菌群の判定で迷うことがありましたので質問させていただきます。
先日、魚肉練り製品において大腸菌群の検査を実施したところ, BGLB培地でガス陽性,
EMB培地で全面的に金属光沢あり, グラム染色でグラム陰性桿菌でした。しかし,
LB培地ではガス陰性, 培地は青みがかりアルカリにかたむいているようでした。“EMB培地で乳糖を分解して酸性にかたむき金属光沢があるものが,
LB培地では黄変しない”のはなぜでしょうか。今回, 「食品衛生検査指針」に基づき,
LB培地でガス陰性, 黄変がなかったので“大腸菌群陰性”と判定しました。今後の参考にお聞かせ下さい。
【回答】
BGLB培地でガス陽性, EMB培地で全面的に金属光沢あり, グラム染色でグラム陰性桿菌という結果から,
その魚肉練り製品には“大腸菌群の存在”が十分に考えられます。質問で気になるのは,「EMB培地で全面的に金属光沢」の部分です。このことから,
コロニーがうまく分離できていないことが推察されます。「LB培地ではガス陰性,
培地は青みがかりアルカリにかたむいている」ということは, 分離コロニーをよく観察せずにPseudomonasのような菌を一緒に接種してしまった可能性があります。今後,
注意する点は, EMB培地で金属光沢が認められたら, 標準寒天培地のような非選択培地で再度コロニーを形成させ,
純培養した後でグラム染色とLB培地などで確認することです。
(日水製薬・小高 秀正)
【質問者からのお礼】
ご回答をいただき, ありがとうございました。他の菌を一緒に釣菌してしまっていたとは思っていませんでした。ご指導通り,
気を付けて釣菌したいと思います。今後ともよろしくお願い致します。
[戻る]
|