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【質問】
“バイオフィルム (biofilm)” とはどのようなものなのでしょうか???
産生条件はどのような場合でしょうか。また, どのような菌種でみられますか。さらに,
検体からの分離培養で得られたコロニーから (産生しているか否か) 見分けがつきますか,
塗抹鏡検で見分けがつきますか。検体の種類別で (喀痰, 尿, 血液など) 産生しやすい場合がありますか。産生菌は抗生剤が効きにくいと聞きますが,
in vitroの検査で (効きにくさが ) 鑑別可能でしょうか。さらに産生菌に浸透しやすい抗生剤はどのようなものがありますか。ご教唆,
よろしくお願いします。
【回答】
“バイオフィルム”とは, 生物を包むフィルムであり, 菌体多糖体 (glycocalyx)
と呼ばれる成分を細菌が菌体の周囲に産生した物質です。菌が生体の感染防御機構や抗菌薬に曝露すると,
頑強な鎧 (バイオフィルム) を作って攻撃を避けると考えられています。また,
生体内に留置された医療材料に付着することにより, バイオフィルムの形成を増長するといわれています。産生する菌種としては,
コアグラーゼ陰性ブドウ球菌, 緑膿菌, コリネバクテリウムなどがあげられますが,
コロニーや塗抹鏡検では見分けはつきません。生体内に留置された医療材料検体
(カテーテルなど) から分離された菌では, その産生が確認される場合が多いようです。薬剤感受性検査では,
感性 (S) と判定されても産生菌には効果がないようです。効果が期待できる抗菌薬としては,
erythromycinなどの14員環マクロライド系薬が良好なようです。
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