08/05/14
■ 鶏糞中のカンピロバクター
【質問】
 はじめまして。私は畜糞や生ごみなどの有機廃棄物を堆肥化する会社の研究開発部に勤めております。現在, 畜糞や堆肥中の食中毒菌の検査を行っております。その中で“カンピロバクター”について質問があります。

 鶏肉ではカンピロバクターによる食中毒が発生しており, その理由として, 鶏の腸内にカンピロバクターが存在しているためときいております。では, 鶏から排出される“鶏糞には大体どのくらいのカンピロバクターが検出される”のでしょうか?ご教授をお願いします。

【回答】
 デンマークでの調査では, 111検体の糞便ふき取り検体を調べた結果43件が陽性でした1)。米国では948の糞便サンプルを検査した内, 914件(96.4%)がCampylobacter陽性でした。平均菌数は1グラム当たりだいたい10^5 個でした2)。回答者は, 小児散発下痢症由来のCampylobacter jejuniを鶏のヒナへ1羽当たり10^4個を経口投与し, 排菌の状態を検査した経験があります。すべてのヒナにCampylobacterは定着し, 1グラム当たり10^4_10^7個の菌が14日間断続的に排菌されているのを確認しました。14日目に殺処分し, 腸管内の細菌の定量培養を行ったところ, 小腸に比べ大腸からの菌の検出が高かった結果を得ました。

〔参考文献〕
(1) Lund M. et al.: Detection of Campylobacter spp. in chicken fecal samples by real-time PCR. J. Clin. Microbiol. 42: 5125〜5132, 2004.

(2) Stern N J and M C Robach: Enumeration of Campylobcater spp. in broiler feces and in corresponding processed carcasses. J. Food Prot. 66: 1557-1563, 2003.

(日水製薬・小高 秀正)


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