07/03/05
07/03/12
■ 抗酸菌染色でチールネルゼン染色「陽性」・蛍光染色「陰性」
【質問】
 ●●市立病院検査科の■■です。よろしくお願いします。

 当院では, 結核菌の塗抹検査でチールネルゼン法と蛍光法で実施しています。時々, チールネルゼン法で塗抹陽性となったが, その後行った蛍光法では塗抹陰性となるケースがみられます。遺伝子検査, 培養検査も「陰性」となります。本来, 蛍光法の方がチールネルゼン法より感度が高いと認識していますが, このケースはどの様に考えたらよろしいのでしょうか??? 抗酸染色としての染色性に差があるのでしょうか??? 調べてみてもわからないので, ご相談させていただきました。よろしくお願い致します。

【回答】
 一般的には, 低倍率での検査が可能な蛍光染色が, 油浸を必要とするチールネルゼン染色よりも, 顕微鏡視野の広い範囲を短時間で検査でき, 感度も優れているので, 多くの検査室では蛍光染色を主に採用しています。貴施設では両染色を同時に実施しており, チールネルゼン法「陽性」, 蛍光法「陰性」のケースがあるとのこと。多くの検体を検査するうちには, このようなケースもあるでしょう。問題は, どちらの感度が優れているかです。もしチールネルゼン法の感度が優れているのであれば, 蛍光法の精度管理 (蛍光顕微鏡も含めて) が必要となります。陽性対照のコントロールをおいて精度管理を行ってみて下さい。

(近畿大学・古田 格)
【追加回答】
 通常は, スクリーニング効率の優れた蛍光染色法で最初に検鏡し, 蛍光染色で陽性となった検体のみをチールネルゼン染色で確認するという検査手順が採用されています。従って, この検査手順では原理的に, 蛍光染色で「陰性」, チールネルゼン染色「陽性」は発生しません。実際には質問者のような事例もあるとは思いますが・・・しかし, 培養検査も, 遺伝子増幅検査も「陰性」ということなので, 私ならまず最初にチールネルゼン染色の「偽陽性」を疑い, 染色液などの汚染と染色特性を確認します。
(琉球大学・山根 誠久)


【質問者からのお礼】
 御回答ありがとうございました。当方でも再度検討したいと思います。


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