07/12/25
■ 給食調理員からAeromonasが・・・
【質問】
 病院勤務の検査技師です。7月から当院給食調理員の糞便中細菌検査においてAeromonas caviae, Aeromonas hydrophila, Bacillus cereus (少数〜2+)が検出され始め, 8月には8人中5人に検出されるという状況です。『2006/08/08 糞便からエロモナス(Aeromonas)菌が』の質問に対する回答として,『調理の仕事をしている場合には糞便の細菌検査を再々行い, 陰性になるまでは感染の原因となるので調理に関係する仕事をしないで下さい』[http://www.jarmam.gr.jp/situmon2/funben-aeromonas.html]と記載されておりました。通常は症状がなければ健康保菌者ということで抗菌薬による治療は必要ないのだと思いますが, 当院では調理従事者の人数が不足しており休職させられない状態のため, 症状がなくても除菌目的で抗菌薬を使用しても良いものでしょうか??? また, 調理従事者の間で蔓延する理由を探るべく,『ぺたんチェック』という培地を使用した環境調査を依頼 (検査センターに外注) しているところです。手洗い場, 調理場の流し, 調理用包丁の柄, 調理作業台, 調理員が使用するトイレおよび洗面台, 使用前のまな板などから問題のある細菌が検出されるかどうかを確認中ですが, その他にも確認すべき場所や確認すべきことなどありましたらアドバイスいただけると幸いです。 乱筆お許しください。宜しくお願いいたします。

【回答】
 通常は症状がなければ経過観察とし, 調理担当者はエロモナス(Aeromonas)が便から消失するまで調理業務から離れる対応になります。実際, 人員的に仕事を休ませることができないとなると, 抗菌薬で除菌を行うか, 手指消毒を十分行うことを条件に業務を続けさせるかのいずれかの選択肢となりますが, 病院管理の立場からは前者を選択したいと思いますので, 抗菌薬使用もやむを得ないと考えます。

 調理従事者の間でエロモナス(Aeromonas)が蔓延する原因として, 共通して摂取した食品や飲み物も可能性として挙げられます。無症状の保菌者が徐々に増えてきたということなら, 同時に飲食したものではないかもしれません。該当する飲食物がないか, よく検討されてはいかがでしょうか。いずれにしても, 手指衛生の遵守, 便培養の経過観察は大切です。

(虎の門病院・米山 彰子)


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