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今回我々は、DPP-4阻害の抗線維化効果、腎でのDPP-4蛋白の発現調節機構において、microRNA29sの演じる役割を解明いたしました。STZ誘導1型糖尿病CD-1マウスの糸球体硬化・腎線維化はlinagliptin投与により有意に改善し、内皮細胞-間葉系細胞分化抑制を伴いました。microRNA29は糖尿病腎で低下しており、linagliptinはこれらを正常化しました。我々は、DPP-4の3’-UTRにmicroRNA29結合領域がある事に注目し、microRNA29は腎臓において、DPP-4発現を負に制御していること証明しました。microRNA29sはlinagliptinによる内皮細胞-間葉細胞分化抑制にも重要でした。この結果は、糖尿病腎において低下しているmicroRNA29sが、線維化制御の治療標的としてのみならず、DPP-4発現を制御し、強発現したDPP-4の阻害により、microRNA29も正常化するという、DPP-4、線維化プログラム、microRNA29の間に存在するクロストークがある事を意味し、そのクロストーク阻害が有効な治療標的である事を意味しました。
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【論文発表】糖尿病・内分泌内科学/金﨑啓造講師による論文「DPP-4阻害薬linagliptinによる糖尿病腎に対する抗線維化効果は内皮細胞-間葉細胞分化抑制を伴う」がDiabetes誌に掲載されます
Dipeptidyl Peptidase-4(DPP-4)阻害には、pleiotropicな臓器保護効果が報告されていますが、その分子機構は明らかではありません。microRNA29の抗線維化-臓器保護効果が知られております。今回我々は、DPP-4阻害の抗線維化効果、腎でのDPP-4蛋白の発現調節機構において、microRNA29sの演じる役割を解明いたしました。STZ誘導1型糖尿病CD-1マウスの糸球体硬化・腎線維化はlinagliptin投与により有意に改善し、内皮細胞-間葉系細胞分化抑制を伴いました。microRNA29は糖尿病腎で低下しており、linagliptinはこれらを正常化しました。我々は、DPP-4の3’-UTRにmicroRNA29結合領域がある事に注目し、microRNA29は腎臓において、DPP-4発現を負に制御していること証明しました。microRNA29sはlinagliptinによる内皮細胞-間葉細胞分化抑制にも重要でした。この結果は、糖尿病腎において低下しているmicroRNA29sが、線維化制御の治療標的としてのみならず、DPP-4発現を制御し、強発現したDPP-4の阻害により、microRNA29も正常化するという、DPP-4、線維化プログラム、microRNA29の間に存在するクロストークがある事を意味し、そのクロストーク阻害が有効な治療標的である事を意味しました。
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