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さらに,MC5Rには赤芽球からの核の放出(脱核)を誘導する作用があることを発見しました。この研究成果は,赤血球脱核誘導因子の初めての記載であるとともに,赤血球を幹細胞から人工的に作製するための技術開発においても重要な意義があります。なぜならば,核が残存する赤血球の輸血には高い癌化のリスクを伴うため,作製された赤血球から核を取り除く技術が必須であるからです。このように,人工誘導赤血球の臨床応用において,本研究成果が有意義に活用されることが期待されます。
なお,本研究は,本学講師(解剖学I)であった故・島村英理子博士の遺作となりました。
→PLOS ONEウェブサイト
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【論文発表】解剖学Ⅰ/島村英理子講師による論文「Melanocortins Contribute to Sequential Differentiation and Enucleation of Human Erythroblasts via Melanocortin Receptors 1, 2 and 5(メラノコルチンは,メラノコルチン受容体1,2,5を介してヒト赤芽球の分化と脱核を促進する)」がPLOS ONE誌に掲載されました
iPS細胞やES細胞から赤血球を作製するためには,赤血球前駆細胞を効率よく誘導する技術に加えて,核を有する未熟な赤血球から核を排除する技術が必要となります。我々は,メラノコルチン(ACTH,αMSH)とその受容体である5種類のメラノコルチン受容体(MC1R – MC5R)が,赤芽球の分化を調節することを明らかにしました。さらに,MC5Rには赤芽球からの核の放出(脱核)を誘導する作用があることを発見しました。この研究成果は,赤血球脱核誘導因子の初めての記載であるとともに,赤血球を幹細胞から人工的に作製するための技術開発においても重要な意義があります。なぜならば,核が残存する赤血球の輸血には高い癌化のリスクを伴うため,作製された赤血球から核を取り除く技術が必須であるからです。このように,人工誘導赤血球の臨床応用において,本研究成果が有意義に活用されることが期待されます。
なお,本研究は,本学講師(解剖学I)であった故・島村英理子博士の遺作となりました。
→PLOS ONEウェブサイト