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初期研修医 川北恵美さん、研修中の症例をClinical Case Reports誌に論文発表「Severe electrolytes disorders with the interstitial kidney alterations in the patient with the history of total thyroidectomy and parathyroidectomy: possible role of vitamin D deficiency 」(糖尿病内分泌内科学)

Vitamin Dは生体の恒常性維持に重要な役割を演じており、その欠乏はカルシウム・リンの異常のみならずマグネシウム吸収不全など多彩な電解質異常を惹起することが知られますが、vitamin D欠乏症の頻度は〜60%と非常に多いと報告されています。今回の症例は甲状腺・副甲状腺切除後、長期にわたり本来服用しなければならないvitamin Dの服薬アドヒアランスが悪く、かつ電解質異常の結果として生じた腎臓尿細管障害の存在も相まって、非常に重症の電解質異常(低カリウム、低マグネシウム、低クロール、低カルシウム)血症を生じたと考えられました。同時に本症例に合併した多彩な自己抗体(抗セントロメア抗体、PR3-ANCA)の存在やHelicobacter Pylori感染にもvitamin D欠乏との相関が知られております。Vitamin D欠乏の意義を考察する上で非常に興味深い症例でした。アドバイスをいただきました関係諸先生方に御礼申し上げますとともに、学会発表・論文発表にご同意いただきました患者様に感謝申し上げます。(金崎)

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