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方法・結果:これらWNT10A–/– マウスは、形態発生・器官形成学的に、非常にユニークな表現型を呈した。発達遅滞、脱毛、円背、不妊などがそれである。そこで、WNT10A–/– マウスと野生型WTマウス各群に、皮膚潰瘍形成による創傷治癒モデルを施行した。WNT10A–/– マウスは、WTマウスに比べ、有意に大きな皮膚潰瘍を呈し、さらに創傷治癒の遅延を見た。病理組織学的・分子生物学的にWNT10A–/– マウスでは、線維芽細胞・筋線維芽細胞・毛細血管内皮細胞の数は有意に減少し、コラーゲンの発現および合成が明らかに抑制されていた。
結論:これら結果は、WNT10Aが、生体内での創傷治癒における非常に中心的かつ重要な役割を有していることを、より強固にさせるものであった。さらに、少なくとも線維発生因子としてのコラーゲンの発現・合成を調節しながら、WNT10Aが生体の創傷治癒を効果的に円滑に進めていることを示唆するものでもあろう。
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【論文発表】臨床病理学 山田壮亮教授の論文「Critical in vivo roles of WNT10A in wound healing by regulating collagen expression/synthesis in WNT10A-deficient mice」をPLoS One誌2018に発表いたしました
「背景:我々はこれまでに、WNT10Aが、創傷治癒・瘢痕化、つまるところ線維芽細胞・筋線維芽細胞や毛細血管内皮細胞の増殖に、非常に重要な役割を有していることを報告してきた。ここでは、生体内におけるWNT10Aのそれら機能が中心的に働いているであろう仮説を立てて、WNT10Aを完全に欠損させたWNT10A–/– マウスを独自に作製し実験を進めた。方法・結果:これらWNT10A–/– マウスは、形態発生・器官形成学的に、非常にユニークな表現型を呈した。発達遅滞、脱毛、円背、不妊などがそれである。そこで、WNT10A–/– マウスと野生型WTマウス各群に、皮膚潰瘍形成による創傷治癒モデルを施行した。WNT10A–/– マウスは、WTマウスに比べ、有意に大きな皮膚潰瘍を呈し、さらに創傷治癒の遅延を見た。病理組織学的・分子生物学的にWNT10A–/– マウスでは、線維芽細胞・筋線維芽細胞・毛細血管内皮細胞の数は有意に減少し、コラーゲンの発現および合成が明らかに抑制されていた。
結論:これら結果は、WNT10Aが、生体内での創傷治癒における非常に中心的かつ重要な役割を有していることを、より強固にさせるものであった。さらに、少なくとも線維発生因子としてのコラーゲンの発現・合成を調節しながら、WNT10Aが生体の創傷治癒を効果的に円滑に進めていることを示唆するものでもあろう。
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