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【論文発表】臨床病理学 水谷謙一先生の論文「Meningioma with remarkable multiple rosette formation: A diagnostically difficult case」がJournal of Medical & Surgical Pathology誌に掲載されました

【緒言】ロゼット形成は髄膜腫で稀に見られる特徴であり、血管腫性、髄膜皮性、移行性、分泌性、乳頭状あるいはラブドイド髄膜腫で見られるとされるが報告例はほとんど無い。またこの特徴自体はWHOグレード決定に寄与しないため時に診断が困難となる。
【症例】62歳、日本人女性。転倒後医療機関受診し、頭部CTおよびMRIで右前頭部に大脳鎌に接する50mm大の脳実質外腫瘍を指摘され手術が施行された。組織学的に腫瘍には血管軸を持たないロゼットが非常に目立ち、渦巻状配列、偽乳頭状構造も見られた。ラブドイドな細胞、細胞密度の増加、N/C比の高い小型細胞、明瞭な核小体も見られたが、核分裂像およびKi-67陽性率は非常に少なかった。免疫染色ではEMAとsynaptophysinが陽性、GFAP、PgR、STAT6、S-100、NeuN、melan Aは陰性であった。上衣腫が第一に鑑別に挙がったが血管周囲偽ロゼットや上衣性ロゼットが見られず除外され最終診断はAtpical meningioma with a rosette-like and pseudopapillary pattern, WHO grade Ⅱとなった。
【結言】ロゼット形成の非常に目立つ髄膜腫であったがロゼット自体はWHOグレード決定に寄与しないため診断に苦慮した症例であった。乳頭状髄膜腫(WHO grade Ⅲ)も鑑別となったが核分裂像やKi-67陽性率が非常に低いことから除外された。本症例は非常に特徴的でかつ診断に苦慮した1例であり、今後の稀な症例の病理診断の一助となると考える。

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