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不整脈原性右室心筋症(ARVC)とは、若年の突然死原因疾患の一つとして知られ、病理組織学的に、特に右室心筋が著しく脂肪・線維脂肪置換している特徴的な病態をいい、肉眼的所見は横色調の右室の拡大・菲薄化がみられる。
ARVCは近年の研究で、心筋細胞間の接着に関与するデスモゾーム関連遺伝子などの異常が原因だと解明されてきた。
本症例で発現の低下が認められたタンパク質は心筋介在板のデスモゾームを構成するものである。デスモゾームの機能不全が細胞間の接着機能を低下させ、それぞれの心筋細胞の分離、細胞死、脂肪細胞への転換、脂肪線維置換などによる修復を引き起こしたと推察する。加えて、本ARVC症例において、心筋内にTG、FFAの沈着が高度にみられるという結果を得た。この点は中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)とoverlapするものと考えられ、今後両疾患を比較することの中からetiologyについて考察が深められればと期待するところである。
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【論文発表】医学部5学年 山本 健太郎さんの論文「Possibly Late-Onset Arrhythmogenic Right Ventricular Cardiomyopathy:Unique Triglyceride Deposition by Analysis of Lipid Contents」が Clinical Medicine Insight: Case Reports誌に掲載されました
不整脈原性右室心筋症の一剖検例と心筋内脂質成分の解析不整脈原性右室心筋症(ARVC)とは、若年の突然死原因疾患の一つとして知られ、病理組織学的に、特に右室心筋が著しく脂肪・線維脂肪置換している特徴的な病態をいい、肉眼的所見は横色調の右室の拡大・菲薄化がみられる。
ARVCは近年の研究で、心筋細胞間の接着に関与するデスモゾーム関連遺伝子などの異常が原因だと解明されてきた。
本症例で発現の低下が認められたタンパク質は心筋介在板のデスモゾームを構成するものである。デスモゾームの機能不全が細胞間の接着機能を低下させ、それぞれの心筋細胞の分離、細胞死、脂肪細胞への転換、脂肪線維置換などによる修復を引き起こしたと推察する。加えて、本ARVC症例において、心筋内にTG、FFAの沈着が高度にみられるという結果を得た。この点は中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)とoverlapするものと考えられ、今後両疾患を比較することの中からetiologyについて考察が深められればと期待するところである。
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