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本研究では、マウス栄養膜幹細胞由来の栄養膜細胞 (mTSC) を用いて、炎症性サイトカインである白血病抑制因子 (LIF) のCRH誘導作用を調べた。その結果、LIF添加培養によって、mTSCにおけるCrh mRNAの発現亢進および培地中のCRH濃度上昇が確認された。さらに、mTSCにおいて、LIFはPI3K/AKTおよびMAPK経路の活性化を介してCrh mRNAの発現を亢進させるが、JAK/STAT3経路には依存しないことが明らかとなった。
本研究によって、胎盤由来CRHの研究のためのmTSCを用いたin vitro実験系が確立された。また、母体および胎盤の炎症により誘導されるLIFやIL-6に起因する過剰な炎症性シグナルは、SOCS3によるJAK/STAT3経路の抑制性調節を受けたとしても、PI3K/AKTおよびMAPK経路を介して、CRHの誘導を持続しうることを意味しており、炎症に伴う早産のメカニズム解明に重要な手掛かりを与える研究成果である。
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解剖学Ⅰ 王賀 大学院生 の学位研究 "白血病抑制因子はマウス胎盤栄養膜幹細胞からのコルチコトロピン放出ホルモンの分泌を誘導する(原題名 Leukemia inhibitory factor induces corticotropin-releasing hormone in mouse trophoblast stem cells)" が、Biochemical and Biophysical Research Communications 誌に掲載されました。
ヒト妊娠後期では、胎盤からのコルチコトロピン放出ホルモン (CRH) が、分娩タイミングの調節に非常に重要な働きをしていると考えられている。しかし、げっ歯類胎盤におけるCRHの発現に関しては否定的な報告が多く、胎盤由来CRHの機能解析を行うためのモデル動物を用いた有効な実験系が確立されていない。本研究では、マウス栄養膜幹細胞由来の栄養膜細胞 (mTSC) を用いて、炎症性サイトカインである白血病抑制因子 (LIF) のCRH誘導作用を調べた。その結果、LIF添加培養によって、mTSCにおけるCrh mRNAの発現亢進および培地中のCRH濃度上昇が確認された。さらに、mTSCにおいて、LIFはPI3K/AKTおよびMAPK経路の活性化を介してCrh mRNAの発現を亢進させるが、JAK/STAT3経路には依存しないことが明らかとなった。
本研究によって、胎盤由来CRHの研究のためのmTSCを用いたin vitro実験系が確立された。また、母体および胎盤の炎症により誘導されるLIFやIL-6に起因する過剰な炎症性シグナルは、SOCS3によるJAK/STAT3経路の抑制性調節を受けたとしても、PI3K/AKTおよびMAPK経路を介して、CRHの誘導を持続しうることを意味しており、炎症に伴う早産のメカニズム解明に重要な手掛かりを与える研究成果である。
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