bulletin2021_1
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SCHOOLOFMEDICINE 11医学教育モデル・コア・カリキュラム カリキュラムは教育を進めるにあたっての「教育活動計画書」であり、教育の主幹となるもので、1.目標(Objective)、2.方策(Learning Strategy)、3.評価(Evaluation)の3要素を備えていなければならない。 従来の医学教育は、各講座単位の縦割りの形態から脱却することができなかったが、1996年、「21世紀医学・医療懇談会」が文部大臣の諮問を受けて立ち上げられ、第1次報告において、人間中心の医療を推進することが急務であり、講座制の枠にとらわれない医学教育カリキュラムの編成が最重要課題であるとの緊急提言が行われた。そして1999年には「第4次報告:21世紀に向けた医師・歯科医師の育成体制の在り方について」の詳細な分析・提言があり、医学における教育プログラム開発委員会によって「医学教育モデル・コア・カリキュラム」の作成が開始された。2001年3月、「医学教育モデル・コア・カリキュラム第1版」が発表され、2011年3月と2017年3月の2回改訂がなされている。本学の6年一貫統合型カリキュラムもそれらを反映させて改訂を行い実施している。Curriculumカリキュラム■ 6年一貫統合型カリキュラム 本学の「6年一貫統合型カリキュラム」が規準とする「医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)」は、世界医学教育連盟(WFME)が示す教育の質保証のための国際基準(Global Standard)を考慮した形で構成されている。 従来の講座主体の縦割りの教育形態を廃し、一般教育をはじめ必要な分野の内容を一貫教育の中に取り入れる統合型教育として、臓器別統合型のユニット等が組まれている。各ユニットでは基礎医学科目や臨床医学科目の知識を統合して学び、卒業時の最終到達目標を達成できるように、学年ごとに学修成果を評価する教育法(Outcome-Based Education)を取り入れている。 学習は、暗記中心の勉学方法に頼らず、それぞれ知識(Cognitive Domain:認知領域)、態度(Affective Domain:情意領域)、技術(Psychomotor Domain:精神運動領域)の3つに焦点を置き、医師への資質を高めるよう配慮されている。 問題点を自ら見つけて理論づけていく問題基盤型の勉学態度を育成する方法[チーム基盤型学習(TBL: Team-Based Learning)、講義、実習]を積極的に採用している。第4〜6学年の臨床実習はスチューデント・ドクターとしての自覚のもとに行う診療参加型臨床実習(CCS)とし、全国統一の共用試験により、第4学年への進級にバリアを設けている。スチューデント・ドクターは医療チームの一員として行動し、厳しい条件が付されるものの、患者に対してある程度の医行為を行い、人間形成を重視しつつ症例経験を積み、医師に求められる基本的知識と態度、そして臨床能力を習得していく。実際の体験は学習の重要な動機づけとなり、「臨床スキル」を適切に身につけ習熟していくことにつながる。早期臨床体験実習の導入、クリニカル・シミュレーション・センター(CSC: Clinical Simulation Center)におけるシミュレータを用いた各種臨床スキルの体得・習熟、模擬患者を用いた臨床面接訓練等により学習を進める。

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