bulletin2021_1
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I I MUNICIPALHOSPITALKMUHM68外観ロビー外来診察風景へき地巡回診療■ 病院再生の経緯 大学が自治体病院の指定管理者となって再生を行っている例は少なく、全国から注目を浴びている。旧氷見市民病院は、建物の老朽化、人件費の高騰、医師・看護師の不足などのため経営が危機的状況となり、2007年5月、氷見市民病院経営改革委員会は堂故前氷見市長に「公設公営」の継続は不可能であり、「指定管理者制度による公設民営」が最善と答申した。指定管理者選定委員会を経て、2007年11月、本学を指定管理者候補者に決定し、氷見市と本学が基本協定を締結した。この時点での課題は、35名以上の常勤医師の確保、職員からの公務員身分維持の要求であったが、医師の確保は本学病院の協力により解決され、また職員の給料については激変緩和措置を講じて市から退職金が支払われた後、大学職員として再雇用することが堅持され、落着に向かった。2011年9月、新病院が能越自動車道氷見インター近くの新しい敷地に完成し、稼働した。■ 本病院の機能 常勤医師は47名、診療科は26科、病床数は250床(一般病床196床、結核病床5床、回復期リハビリテーション病床49床)であり、1日平均外来患者数は約500名にのぼる。 2011年の新病院の完成により、時代にマッチした、人にやさしく安心で快適な医療環境を提供する地域の中核病院としての役割を担い、また2013年12月には臨床研修医や医学生、看護学生など地域医療を担う人材育成の拠点となる教育研修棟が増設され、教育機能の充実が図られている。 当初から氷見市民病院が力を入れている取り組みとしては、氷見市山間部におけるへき地巡回診療や24時間365日の救急医療体制を担うとともに、地域の中核病院として役割を果たすべく日々診療を行っている。 また、市民への医療啓発を行う「健康づくり教室」、地域の小中学生に病院への興味を深めてもらう「夏休み親子ふれあい医療フェスティバル」、地域の医療機関と診療連携の充実・強化を図るための「氷見病診連携症例カンファレンス」や「地域医療懇談会」を定期的に開催することにより、地域医療の向上に貢献している。全国が注目する自治体病院再生の先進モデル金沢医科大学氷見市民病院KMU HIMI MUNICIPAL HOSPITAL最高経営責任者 松本 忠美 Chief Executive O■cer: Prof. Emer. MATSUMOTO Tadami, M.D., Ph.D    病院長 栂  博久 Director: Prof. Emer. TOGA Hirohisa, M.D., Ph.D. 金沢医科大学氷見市民病院は、2008年4月1日から富山県氷見市の旧氷見市民病院の公設民営化により、本学が事業指定管理者として、病院の管理運営を担当している。

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