金沢医科大学 医学部案内2023
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氷見市民病院は、27の診療科を有し、病床数は250床、1日平均外来患者数は約500名にのぼる富山県氷見市の自治体病院です。建物の老朽化や医師・看護師不足などのため経営が危機的状況となり、2008年から本学が事業指定管理者として管理運営を行っています。移管以降は本学の機動性や柔軟性を発揮したことで病院経営の立て直しに成功し、2011年には新病院が能越自動車道氷見インター近くに完成したこともあり、地域の中核病院として充実した医療環境を提供しています。また、2013年には、臨床研修医や医学生、看護学生の育成を目的とした教育研修棟を増設したことにより、地域医療の現場で医師を育てる教育機能がさらに高まりました。学生は第5学年になると氷見市民病院における臨床実習を体験し、地方行政本学では、2010年に石川県との協定により能登半島の公立穴水総合病院内に能登北部地域医療研究所を設置し、地域包括ケアシステム構築の支援と総合診療医の育成に取り組んできました。研究所の大きな特長は、初期臨床研修の地域医療プログラムを確立し、「教育」に重点を置いていることです。外来診療のほかにも、訪問診療、訪問リハビリ、老人ホーム研修、へき地診療所での研修等があり、医学生も訪問診療に同行します。1次医療から2次医療までを幅広くカバーするプログラムの経験者からは、「病気だけでなく、家族や住居、介護の環境、経済的問題など、あらゆる側面に目を向けながら医療を行う体験ができた」「生き抜くための医療ではなく、本人や家族の意向をどのような形で受け止める医療が必要かを考えさせられた」などの声が寄せられてや医療福祉施設と連携した地域医療を学びます。本学が当初から力を入れてきたのは、氷見市山間部におけるへき地巡回診療や24時間365日の緊急医療体制です。さらに、市民への医療啓発を目的とした「健康づくり教室」や「夏休み親子ふれあい医療フェスティバル」の開催とともに、地域の医療機関と病診連携の充実・強化を図るために「氷見病診連携症例カンファレンス」「地域医療懇談会」を定期的に開催することで、地域から信頼を得ており、氷見市の医療の質向上に貢献しています。おり、高齢者医療の現場を肌で知るプログラムは日本プライマリ・ケア連合学会からも認定されています。本学の取り組みは、医療関係者だけでなく、地元のさまざまな機関と連携したプロジェクトや、穴水町の協力を得て行っている在宅医療をテーマとした多職種連携によるセミナー「あなみず地域医療塾」の開催など多方面にわたり、まちぐるみで地域医療・医学教育を推進している成功例としても注目を集めています。■ 能登北部地域医療研究所所在地 / 石川県鳳珠郡穴水町川島タ-8 職員数 / 3名■ 金沢医科大学氷見市民病院所在地 / 富山県氷見市鞍川1130番地職員数 / 453名研修医数/医科3名、歯科0名※2022年5月現在 (公立穴水総合病院内)41金沢医科大学氷見市民病院能登北部地域医療研究所

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