金沢医科大学 看護学部案内2023(WEB)
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看護職は「みる」ことが仕事です。病気の人を「診て」治療の手助けをし、その人の生活行動を支援し世話をする、つまり面倒を「看る」。また、息をする、食べる、排泄する、運動する、眠るといった生きていくための基本的な生活行動を支えるためには、その人をよく観察する、つまり「視る」ことが必要です。そして、よく「視る」ためには、生きていくための仕組みを知らなければなりません。私の担当科目では解剖学、生理学、細胞生物学、生化学それぞれの専門家が連係し、人が生物として生きている仕組みを、分子から身体レベルまで統合的にとらえて理解するための授業をしています。生きている仕組みは驚異的にうまくできており、時に感動すら覚えます。皆さんにもぜひその感動を味わってもらいたいと思います。看護職には専門的な知識・技術・態度が必要です。これらを統合した看護実践力を身につけ、患者さんを看護します。保健師助産師看護師法という法律により、看護師は「療養上の世話または診療の補助を行う者」となっています。「診療の補助とは医師の補助ということではなく、患者さんの補助であり、看護という仕事は日常生活支援を含めて患者さんの人生すべてを包括する」と川島みどり先生がいうように、看護師の捉え方で看護が変わります。治療には限界がありますが、看護はどのような状態の対象に対しても必要であり、限界はありません。1人ひとりが、何ができるかを精いっぱい考える看護師になってほしいと思っています。人工呼吸器などの医療機器使用者や医療的ケアを必要とする要配慮者の災害対策システムの構築に取り組んでいます。このシステムは、スマートフォンのアプリに自分の心身情報や日々の体調を入力しておき、災害時に自らの判断で開示することができるK-DiPS Soloと、通信回線を介してその情報を自治体に送信することで、本人の情報に基づいた物資の備蓄や安否確認、救助に貢献するK-DiPS Onlineで構成されています。医科学 島田 ひろき 教授基礎看護学 松井 希代子 教授在宅看護学 中井 寿雄 准教授看護学部の教育と学生が身につけるべき力、看護職に求められる素養について、各専門領域の教員に話してもらいました。地域貢献・研究活動(ケーディップス ソロ)災害への備えに貢献するスマートフォン用のアプリK-DiPS SoloTOPICSMESSAGES FROM FACULTY日常生活行動の仕組みを生物学的視点からとらえる専門的な知識をもち思考する看護師という職業災害時要配慮者支援教員メッセージ

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