家族性腫瘍症候群外来
金沢医科大学病院ゲノム医療センターでは家族性腫瘍症候群に関する専門外来を行っております。
家族性腫瘍症候群外来
殆どのがんはそれほど遺伝性が強いものではありませんが、一部のがん(5%以下)で、特定のがんに罹る可能性が一般よりもかなり高くなる遺伝性の体質(親から子へ遺伝しうる)がみられる場合があります。このような状態を総称して“家族性腫瘍症候群”と呼んでいます。家族性腫瘍症候群には様々な種類がありますが、下表にあげたものが頻度の高いものです。ゲノム医療センターでは、これらの症候群に関する遺伝カウンセリングと遺伝子検査を行っています。
家族性腫瘍症候群では診断が確定することで、患者さんがどのようにがん検診を受けるべきか(がんのサーベイランスの方法)が確定し、早期発見・治療に結び付けることが出来るというメリットがある一方で、家族(親、兄弟姉妹、子供、その他の親族)にも同じ体質を持った人が存在する可能性があるという、悩ましい事態を生じます。このため、正しい遺伝カウンセリングを経て十分な知識を得たうえで、御家族にとって適切な時期に、適切な方に遺伝子診断を実施する事が肝要となります。
殆どの家族性腫瘍症候群の遺伝子検査には保険適応がなく、一般には高額の自費診療で実施されることが多いのですが、金沢医科大学病院ゲノム医療センターでは、自施設で遺伝子検査を行っているために検査費用を大幅に軽減することが出来ています。当センターで遺伝子検査を受ける場合は、保険適応のある検査も自費診療の検査も、患者さんの費用負担は同等となっています。
1.遺伝子変異のフルスクリーニング検査
家族性腫瘍症候群 |
発症リスクの高まるがん |
原因遺伝子 |
遺伝子検査 費用 |
遺伝性乳がん卵巣がん症候群 |
乳がん、卵巣がん など |
BRCA1, BRCA2 |
自費 27,750円(税込) |
遺伝性非ポリポーシス大腸がん(リンチ症候群) |
大腸がん、子宮体がん など |
MLH1, MSH2, MSH6, PMS2,EPCAM |
自費 27,750円(税込) |
家族性大腸ポリポーシス |
大腸がん など |
APC, MUTYH |
自費 18,750円(税込) |
リ・フラウメニ症候群 |
肉腫、乳がん、脳腫瘍など |
TP53 |
自費 15,390円(税込) |
多発性内分泌腫瘍症2型 |
甲状腺髄様がん |
RET |
保険診療点数 5,000点+カウンセリング加算など 患者3割負担 |
注1.乳がんにおいてリムパーザ(オラパリブ)の使用適応を決定するためのBRCA1/2遺伝子検査は、保険収載されたBRACAnalysis(保険診療点数20,200点 患者3割負担60,600円)となります。当センターのBRCA1/2遺伝子検査は、リムパーザ(オラパリブ)使用の臨床的適応を満たさない患者さんが遺伝子検査を希望された際のためのものです。リムパーザ(オラパリブ)の適応判定のためのコンパニオン診断とはならない事にご留意ください。
注2.表にあげた以外の家族性腫瘍症候群に対する遺伝子検査も、自費15,390円~27,750円で実施しています。ご相談ください。
2.変異のシングルポイント検査
自費 15,390円
家族性腫瘍症候群の遺伝子検査を受け、既に疾患責任変異が同定されている患者さんのご家族が検査を希望された場合に、同じ遺伝子変異を保因しているかどうかをシングルポイントで確認する検査です。
また、がん遺伝子パネル検査を受けて、生殖細胞系列変異が疑われた場合に確認する検査です(金沢医科大学病院で保険適応のあるがん遺伝子パネル検査を受けて生殖細胞系列時変異が疑われた場合は、シングルポイント確認検査は無料となります)。
診察日・時間
・毎週月・水曜日 完全予約制(カウンセリング/検査)
※検査には、現在診療中の医師・医療機関からの紹介が必要です。医師・医療機関からの紹介がない場合は、予約の受付をしておりません。検査を希望される方は主治医の先生にご相談ください。
担当医
新井田 要 (ゲノム医療センター センター長)
医療機関の方へ
患者さんのプライバシーを保護するため、ゲノム医療センターの外来は完全予約制です。貴院の担当者(地域医療連携室等)からFAX・電話にて金沢医科大学病院地域医療連携室へお申込み下さい。
外来受診の際、現在までのがん診療に関する「診療情報提供書」が必須となりますので、ご準備の上、可能な限り外来受診予定日より前にFAX または郵送にてお送りください。