睡眠障害センターのご案内

           

沢医科大学病院では、平成15年に睡眠障害センター(Sleep Disorder Center)を設立、呼吸器内科、神経内科
耳鼻咽喉・頭頸科、精神科神経科がチームで睡眠医療を行っています。「日中のねむけ」あるいは「夜ねむれない」
という症状に対して、その陰に隠れる睡眠時無呼吸症候群、過眠症、神経症、うつ病、神経疾患などさまざまな原因
を突き止め、治療を行っています。本センターは、北陸で唯一の日本睡眠学会認定の施設で、さまざまな角度から
総合的に睡眠に関する診療を行っています。以下に睡眠障害センターについてご案内します。

1.対象疾患                                                                     睡眠時無呼吸症候群(SAS)、いびき、不眠症、ナルコレプシー、特発性過眠症、睡眠随伴症(歯ぎしり・夢遊
  病)、金縛り、概日リズム障害、睡眠相遅延症候群、睡眠薬副作用、睡眠時ミオクローヌス、むずむず脚症候群

2.外来初診担当医

  月   火   水   木   金   土
窪田
(神経精神科)

戸部
(呼吸器内科)

(呼吸器内科)
外来担当医 高橋昌
(呼吸器内科)
高島
(耳鼻咽喉)
窪田
(神経精神科)
高島
(耳鼻咽喉科)
石川
(神経精神科)

   金沢医科大学病院睡眠障害センター 部長 栂 博久(呼吸器内科科長)

 ※受診に関しては紹介状をご持参いただくと、より診療がスムーズになります。

3.1泊2日の入院検査
  泊入院により、睡眠時モニターの装着による検査や肺機能検査・採血検査などを行います。
               <入院スケジュール>
  午後3時入院 → 心電図・肺機能検査等各種検査 → 夕食 → 午後7〜9時頃モニター装着 →
  翌日午前6〜7時頃モニターをはずす → 採血 → 朝食 → 午前8時頃退院

  費用: 3割負担の場合、約25,000〜30,000円となります。

4.お問い合わせ先   睡眠障害センター   076−286ー3511 (内線4226)


「睡眠時無呼吸症候群の病態・症状・診断・治療」
(1)睡眠時無呼吸症候群の病態
  
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SASとは「一晩の睡眠で10秒以上の無呼吸が30回以上
  認められるもの」、あるいは「1時間の睡眠で5回以上認められるもの」を言う。

原因によって3つの型があり、上気道の閉塞に起因する閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS) 、呼吸中
  枢の異常に起因する中枢性睡眠時無呼吸症候群CSAS) とこれらの混合型である。その他に関連する疾
  患として、単純いびき症、上気道抵抗症候群、睡眠時低換気などがある。頻度的にはOSASが70〜80%と最
  も多い。
睡眠時に気道を構成している筋肉が弛み、上向きで寝ると舌や軟口蓋(のどちんこ)が重力にひか
  れて沈下し気道が狭くなる。健康な人でもこうした状態では軽いいびきをかく。原因としては、鼻づまり、扁桃
  肥大、喉頭疾患、小顎症、その他があるが、生活習慣病の観点からするとアルコール摂取、肥満が重要で
  ある。年齢的に40歳代 から増加する。

(2) 症状
  いびきと無呼吸が主症状であるが、寝ると気道が閉じて換気ができなくなり、無呼吸状態では寝息すら聞こ
  えな く なる。 しかし狭くなった気道を通して呼吸しようとするため、間断なく呼吸努力が続けられる。そのうち
  低酸素状態 で苦しくなると覚醒反応が起こり呼吸が再開する。その換気の際にいびき音が発せられる。睡
  眠時の呼吸努力の 程度は覚醒時の5倍から10倍以上と言われ、いいかえると運動をしながら寝ているよう
  なもので、寝汗をかき、 起床時に口内はからからに乾燥する。その結果、患者さんは起床時に疲労感を覚え、
  さらに頻回の覚醒反応に よる睡眠障害のため頭重感、日中の眠気が出てくることになる。

(3) 診断
 まず初診患者に(表1)の質問表に記入してもらい、おおまかにSASの判断を行う。次にスクリーニングのため
 にアプノモニターを用いて一晩の無呼吸数、無呼吸時間を測定してもらい、無呼吸指数(AHI)を算定し、重症
 度分類を行う。小型であるため器械を貸し出し自宅でも測定可能である。その結果をもとに、ポリソムノグラフ
 ィー(PSG)にて確定診断を行う。その他に治療方針決定のために、内視鏡検査、食道内圧測定、画像診断な
 どが行われる。最近、閉塞部位の同定のためにDynamic MRIや3D-CTによる画像解析が可能となり、局所治
 療や治療効果の判定、またインフォームドコンセントにおいて有用になってきた。


(4) 治療
 無呼吸の重症度とOSASの場合に閉塞部位を判定し、治療方針を決定する。当大学病院では中等度以上(AHI
 >20)の患者は、
鼻マスク装置(CPAP、シーパップ)を装着してもらう。これによって睡眠中の呼吸補助を行い、
 睡眠障害を改善することで生活リズムと習慣を変える。この治療により約半数の患者でかなり改善がみられる。
 残りの患者はさらに精査を勧めるが、閉塞の原因となる鼻、咽頭、喉頭などに病変が存在すれば、これを取り
 除く手術が行われる。 比較的多い
扁桃摘出術や軟口蓋形成手術は入院の上、また軽症でいびきのひどい患
 者には高周波凝固装置やレ ーザーによる治療が外来で行われる。しかし単独の治療法だけでは効果は不十
 分で、患者に応じてCPAP、手術、口腔内装具などを組み合わせた治療が選択される。


(表1)         Epworth Sleepiness Scale (Johns MW, 1991)

あなたの最近の生活のなかで、次のような状況で眠ってしまうかどうかを0〜3点で評価してください。
質問の様な状況になったことがなくとも、その状況を想像してお答え下さい。

0点: 眠ってしまうことはない

  1点: 時に眠ってしまう

2点: 50%前後の確立で眠ってしまう

  3点: 70%以上の確立で眠ってしまう


a)  座って読書をしているとき                   (  点)

b) テレビを見ているとき                       (  点)

c) 劇場や会議にて座っているとき               (  点)

d) 車の助手席に座って1時間走っているとき        (  点)

e)  午後の休憩時間、ソファーなどに横になったとき    (  点)

f) 昼食後、静かに座っているとき                 (  点)

g) 座って人と話しているとき                    (  点)

h) 車を運転中、渋滞などにより数分間停止しているとき (  点)


以上8項目の合計が10点以上の方は病的な眠気があると考えられます。
睡眠時無呼吸や過眠症などの病気の可能性があります


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