03/04/21
Klebsiella pneumoniaeの薬剤感受性試験の結果に疑問
【質問】
 2回目の質問メールをお願い致します。前回は緑膿菌の発育条件についてご教授頂き大変参考となりました。ありがとうございました。
さて今回は, バイテック2およびバイテック32でK. pneumoniaeと同定され, 運動性試験もSIM平板で(―)の菌株において, IS60 (MIC2000) を用いた感受性結果が, CFPN >4 μg/ml・CPDX 8 μg/ml・CTM >32 μg/ml・CEZ>16 μg/mlとすべて「耐性R」判定, CZOP 4 μg/ml・CTX 4 μg/ml・CRMN <=2 μg/mlで「感性S」判定でした。再試験しても同様の結果となります。このような耐性はこの菌種にあるのでしょうか???

【回答】
 薬剤感受性の結果からClass A型 β-lactamase (ESBL) ではないかと考えられます。NCCLSに基づいたESBLsの判定では, 今回測定された薬剤, CPDX(≧ 2μg/ml), CTX (≧2 μg/ml) になりますので, 次にABPC とABPC/SBTまたはABPC/CVA を測定し, ABPC単剤よりABPC/SBT (ABPC/CVA) がMICで3管以上感性に変化する (低くなる) か否かを確認すると良いと思われます。ESBLにおけるCTXはTEM-3, 4型以外では感性になります。上記の薬剤に加え, さらにPIPCを測定することで (>64 μg/mlだとClass A, 64 μg/ml未満だとClass CまたはB) に分けられます。Class CはCFPMに対し0.5μg/ml以下を示すため, Class Cは否定できます。
同定および薬剤感受性試験の結果に間違いはないと思われますが Klebsiella属ではK. oxytocaK. pneumoniae とは耐性パターンが異なる菌株がありますので, インドール試験を確認されたら良いと思います。また日常検査で異常または稀な耐性パターンを示す菌株については, 菌株自身の固有の耐性化の可能性もありますが, 試験に用いた試薬 (薬剤) の劣化なども考えられます。このことから異常あるいは判断できない結果が得られた場合には既知の菌株を使用して試薬 (薬剤) の品質を確認することも重要となります。

(琉球大学・仲宗根 勇)

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