04/05/18
■ アルカリ発育の細菌の培養
【質問】
 アルカリ性の食品からアルカリ性 (pH 10.0) にしか生育しない細菌のみを検出したいのですが, どのような培地を使用すればよいのか。あるいはどのようにして標準寒天培地やハートインフージョン寒天培地などを用いて, アルカリ性 (pH 10.0に調整) の培地を作成すればよいのかわかりません。良きアドバイスをお願いします。

【回答】
 非選択培地 (標準寒天培地, ハートインフージョン寒天培地, ブレインハ_トインフュ_ジョン寒天培地, トリプトソ_ヤ寒天培地, ユ_ゴン寒天培地など) をpH 10に調整して使用してみてください。非選択培地のpHの調整法は, 炭酸ナトリウム (無水) を使用して, pH 10になる量を計算してください。具体的には, 2%の炭酸ナトリウム溶液を作製し, 100 mlの培地量に対してどの程度の量の炭酸ナトリウムを添加すればよいかを予備実験します。それぞれのpHの培地をオ_トクレ_ブ滅菌して作製し, 室温に一夜放置後に培地のpHを測定します。pH 10になった時の炭酸ナトリウム量を計算することにより, 培地に添加する炭酸ナトリウム量が算出されます。実際に検査するときには, 培地をオ_トクレ_ブ滅菌する前に, 必要な炭酸ナトリウム溶液を培地へ添加し, 後は通常通り培地を滅菌します。

上記の非選択培地の中から最適な培地を選択するには, 目的とする菌株の発育性を検討して選択してください。目安として記載いたしますが, 上記の培地をpH 10に調整するために必要な炭酸ナトリウム量は約1.5 g_2.5 g/100 ml培地量ぐらい必要です。

(日水製薬・小高 秀正)


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