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【質問】
検査室にバイオハザードの一環として, 安全キャビネットの購入を考えております。購入にあたり,
必要性やあった方が良いという説得力にかけ, 悪戦苦闘しております。安全キャビネットが必要で安心だと言う説明を教えて下さい。
【回答】
以下の3つのポイントから説得を進めては如何でしょうか。
(1) 結核の業務感染は針刺し事故でのB型肝炎より頻度が高い
[升田ら: 感染症学雑誌 65: 209〜215, 1991] を引用されると良い思います。
1979〜1988年の調査結果ですが, 306施設, 9,352名を対象とした広範囲な調査であることから,
その信憑性は高いと考えます。[確認された業務感染の43.5%はエアロゾル感染による結核であること]
(2) いくつかの組織から, 結核菌を取り扱う施設では安全キャネットをしようすることが勧告されている
[結核菌を取り扱う施設はすべて安全キャビネットを完備すること]
この勧告は全米微生物学会 (American Society for Microbiology; ASM)
のものですが, 「新結核菌検査指針 2000」にもこの勧告がそのまま引用され,
“わが国でも結核菌検査に必要な対応”としてまとめまとめられています
(3) 業務感染防止を含む, 安全な労働環境を保証することは, 施設の長の責任である
[安全な労働環境を雇用した者に保証するのは,
道義的にも, 法律的にも, 施設の長の責任です]
このことは, 米国においては明確に記載されていますが, 残念ながらわが国では必ずしも明文化されていない現状です。しかし結核に業務感染した職員が,
“事前に安全設備を施設の長に要求したのにまったく考慮されなかった”として民事訴訟に訴えれば勝訴すると考えます
(脅迫のネタとして)。
(琉球大学・山根誠久)
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