■ 新しいグラム染色, B&M 法について
【質問】最近新しいグラム染色法, B&M 法が紹介されていますが, Huckerの変法との違い, 特徴を教えてください。 
 

【回答】これはBartholomew & Mittwerによる詳細な研究成果を基に開発したグラム染色法の1法であり, 経験差とは無関係にグラム陽性・陰性が明瞭に判断できる特徴を持っています。操作は, メタノール等にて固定した塗抹標本に1%クリスタルバイオレット水溶液を満載し, 直ちに5%炭酸水素ナトリウム水溶液数滴を滴下(この媒染操作が特徴), このまま30秒間染色後, 水洗。次いで2%ヨウ素水酸化ナトリウム溶液を満載し30秒間作用させ, 水洗。脱色はアセトン・エタノール等量混合液を用い素早く(数秒)行い, 水洗。

最後はパイフェル液にて数秒間染色し, 水洗。乾燥, 鏡検します。B&M法はHucker変法に比べ操作が1ステップ多いものの全体の染色時間は短く, 検体の直接染色そして培養菌の染色ともに良好な染色像が得られます。これは私達41施設による同一材料を用いたHucker変法との比較検討成績からも実証されており, 大多数の施設がグラム陽性・陰性の判断が容易であった。白血球内の貧食像が観察しやすかった。菌株のグラム染色性を迷わなかった。Haemophilusなど難染色性菌が見やすかった。染色手技の熟達はいらない。などの意見が寄せられました。Hucker変法で悩まれている方、一度試されてはいかがでしょうか。

(大手前病院・山中 喜代治)

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