■ バシラス・セレウス菌陽性の学生が介護体験を拒否された | |
【質問】
たまたまこのHPを見つけ, メールいたします。当方, 某大学の保健管理室に勤務する臨床医です。夏休み, 学生が老人施設で介護体験をするにあたり, 便中の細菌培養検査が必要なのですが, その中でBacillus cereus 1+の学生が数名おりました (本来の目的菌は, サルモネラと病原性大腸菌のみです)。検査伝票のコピーを添付したところ, 受け入れ先の施設が「このような学生を送ってもらっては困る」と大学側に抗議してきたとの相談を保健婦より受けました。学生本人はいたって元気ですが, 抵抗力の低下した老人の介護にあたっては, やはり食中毒などの原因となりえるのでしょうか。今後, 同様の結果がでた学生に対してどのように説明すればよいか, ご教示いただけましたら幸いです。 【回答】
Bacillus cereus は御存じのように, 食中毒菌のひとつですが, 自然界には広く分布しており, 食品の腐敗菌としてよく知られています。ほとんどのヒトは腐敗した食品に触れたことがある筈です。その細菌が糞便検査で見つかったからといって, 介護体験を拒否されたというのはちと行き過ぎのように感じます。ただ, 食中毒の原因にまったくならないかというと, その可能性は, 介護体験の内容にもよるでしょうが, まったくないとも言い切れません。そのような学生を拒否するか否かは, 受け入れ機関の決定することです。ダメだと言われれば, それを受け入れるしかないでしょう。今後の対策としては, 理解のある受け入れ施設をみつけるしかないと考えます。あるいは, 検査が求められている「サルモネラと病原性大腸菌は陰性であった」という報告書式とし, その他の不必要な情報 (今回のBacillus cereusなど) は記載しないという書式を整えるか・・・ (琉球大学・山根 誠久)
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