02/10/04
■ 培地の菌種による発色
【質問】
 私は薬科大に通う学生です。マンニット培地, EMB培地で特定の菌のコロニーやコロニーの周囲が発色する原理を教えてください!!!

【回答】
 マンニット食塩培地は, ブドウ球菌属の選択分離培地として使用されています。ブドウ球菌には, マンニット分解性の黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus)と非分解性の表皮ブドウ球菌 (S. epidermidis) があり, 一般的に前者は病原性, 後者は非病原性と考えられています。それゆえマンニット分解能は確認検査項目として重要であります。S.aureusが本培地に発育すると, マンニットを分解して酸を産生することにより, コロニーの周辺のpHが酸性になり, 培地中に含まれている指示薬のフェノールレッド (pH域は6.8〜8.4で黄〜赤) が黄色に変化します。

 EBM培地 (Eosin Methylene Blue) は, 主に水, 飲食物中の大腸菌群の検索などに使用されます。この培地に乳糖分解菌(例えば大腸菌)が増殖すると乳糖分解による酸の産生のためコロニーが酸性化します。この酸性環境の中で酸性色素であるエオジンをコロニーが取り込み金属光沢のある黒褐色のコロニーを形成します。

(愛媛大学・小野寺 一)

[戻る]