02/03/15
■ 院内感染防止における梅毒の意義
【質問】
 いろいろインターネットで検索したのですが, わからないのでお教えください。
 当院で「院内感染マニュアル」を充実させていきたいのですが, 梅毒についてあまり説明がありません。
  (1) STS (Serological Test for Syphilis) 陽性患者の針刺し事故の場合,どのように対応すればよろしいでしょうか?
  (2) 針刺し事故が起こった場合,B型肝炎やC型肝炎と同様に, 患者さんのSTSを測定すべきでしょうか?
  (3) そもそも, 現在梅毒は院内感染としてあまり重要になってないのでしょうか? (B型肝炎, C型肝炎については入院患者さんを積極的に調べればよいと思うのですが,それと同様にSTSも調べるべきでしょうか?)
 現在診療上の梅毒の位置付けがよくわかりませんのでよろしくお教えくださ
い。

【回答】
 お答えします。梅毒の血液体液暴露による感染についてでありますが, STS (+), TPHA (+) の血液暴露で感染は理論上成立します。しかし, 実際の現場で暴露事故で感染が起きたという事例は確認されていません。したがって, 肝炎関連の事故に比し, その危険性は極めて低いと言えます。最近出された「国立大学病院感染対策ガイドライン」でも, このように記載されており, 事故後の対応としては, 事故者は1ヶ月後と3ヶ月後にSTSとTPHAの検査を受けるということに止めています。とくに, 予防内服などの治療は勧めていません。

(京都大学・一山 智)

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