03/10/20
03/10/21
■ 血液培養の検体採取について
【質問】
 はじめてメールで質問させていただきます。血液培養の検体を採取するとき, 成書では滅菌手袋をして, イソジン消毒となってるかと思いますが。

(1) 滅菌手袋は必要でしょうか???

(2) イソジンでなくアルコール消毒ではだめでしょうか???

(3) 普通の点滴や採血では手づかみのアルコールで皮膚の消毒をしていると思いますが, この方法で血液養をするとやはり雑菌の混入が多くなるでしょうか(そういう文献とか, エビデンスがあるのでしょうか) ???

以上, ご教示ください。

【回答】
(1) まず手袋の必要性ですが, 採血にあたっては業務感染を防ぐ意味で手袋の装着が必要です。次に“滅菌手袋”である必要があるのかと点には議論があると思います。注射針や穿刺部位, あるいは検体である血液そのものに触れる訳ではないので, 不必要かとも考えられますが, しばしば臨床の場で目にするのが, 消毒した後に静脈を触診する姿です。私は, できるなら滅菌手袋の装着を勧めます。

(2) イソジンではなく, アルコール消毒ではだめかという質問には, だめという訳ではありません。事実, ヨード過敏症患者ではアルコールによる2回消毒という方法が採られます。それでもヨードによる消毒は, その消毒効果のスペクトラムと持続性においてアルコールより優れた特性が期待できます。

(3) 雑菌混入に関するエビデンスと文献をお求めですが, それぞれの施設で経験されているのではないでしょうか。その経験のほうがむしろ重要と考えます。雑菌混入率については, 当該施設の血液培養への認識, 消毒と採血の技術に大きく影響されます。勧められる方法は, 血液培養の検体数を分母に, 皮膚常在菌と考えられる菌種 (コアグラーゼ陰性ブドウ球菌でも可) の分離頻度を分子にして, その%比率を継続的にモニタリングすることです。その比率が3%未満であることが求められますが, 雑菌混入率に増加傾向が観察された場合には, 当該部署に赴き, 実際の血液培養の方法を指導する必要があります。

(琉球大学・山根 誠久)

【質問者からのお礼】
 とても丁寧な解答をいただきまして, ありがとうございました。医師への説明に困っていたので, 大変助かりました。


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