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【質問】
外科研修1年目の医師です。血液培養を行なうタイミングは「熱が上昇する前に」といいますが,
どんなevidenceがあるのでしょうか??? 熱が上昇しきってからでは微生物の検出感度が下がってしまうのでしょうか???
ご教示ください。
【回答】
菌血症 (敗血症) の診断に血液培養がなされます。しかし, 菌血症にもいくつかのタイプがあり,
例えば一過性 (抜歯), 間欠性 (肺炎, 腎盂腎炎, 急性胆嚢炎, その他) や持続性
(カテーテル感染, 細菌性内膜炎) などです。これらの病態では, 循環血液内に細菌が侵入する状態が異なります。ですから,
血液培養のタイミングも, 菌血症が如何なる原因で起こったものかを探る必要があります。一般的に,
スパイク熱や原因不明の高熱が認められる様な場合に血液培養が行われています。血液培養の原則は,
抗菌剤を使用する前に採血を行うことで, 抗菌剤を使用後の採血では検出率は著しく低下します。教科書などには「熱が上昇する前に採血をする」ということも書いてありますが,
熱が上昇するタイミングを知ることはなかなか難しいともいえます。ただし, 熱型表を見て,
周期性のある場合には, それにタイミングを合わせることも良いでしょう。身体は,
血液内にインベーダーである細菌が侵入しますと, 危険を予知してサイトカインが反応し,
熱が上昇することになります。反対に熱が下がるということは, 危険予知警報のレベルが下がること,
すなわち, 細菌が流血中から除去されたとも考えられます。流血中の細菌はいずれ,
細網内皮系組織 (脾臓, 肝臓) で捕捉, 処理されます。やはり, 菌血症が考えられたらタイミングも重要ですが,
1回の採血ではなく, 2〜3回の採血を行うことが必要です。回数を増やすことで検出率はより高くなります。
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