03/09/22
■ 血液培養を採取する最適のタイミング
【質問】
 いつも丁寧に教えていただきありがとうございます。血液培養のタイミングについて教えていただきたいのですが, 研修医の頃はオーベンから“熱が高い時に採取せよ”と教えられました。が, 最近は発熱する時には菌は血中になく, その前の悪寒, 振震の時にとるべきだという意見があるようです。PubMedでblood culture/timingで検索しましたがなかなかヒットしません。どのタイミングで血液培養をするのがいいのかご教示いただければ幸いです。

【回答】
 血液培養の採取時期についてのご質問ですが, Clinical Microbiology Procedures Handbook Vol. 1 の1.7にProcessing and Interpretation of Blood Culturesがあり, その中に「C. Number and timing of blood cultures」が記載されています。内容は以下の通りです。

C. 血液培養の採取する量と時期

1. 急性期の敗血症, 髄膜炎, 骨髄炎, 関節炎, 急性期の未治療の細菌性肺炎, 腎盂腎炎などは, 治療を始める前にふたつの別々の箇所から2セットを採取する。

2. 心内膜炎を疑う持続的な菌血症で, 比較的軽症の低い場合
 a. 急性期
治療を始める前,ふたつの別々の箇所から診察を始めて1〜2時間以内に3セットを採取する。
 b. 亜急性期
1日目に (15分間以上, 採取時間を開けて) 3セットを採取する。
もし翌日, すべての培養が陰性であれば, さらに3セットを採取する。
 c. 既に抗菌剤治療が開始されている心内膜炎患者
連続した3日間毎に, 異なる部位より2セットを採取する。

3. 抗菌薬化学療法中の患者
 a. 48時間以内に6セットを採取する。
 b. 次の抗菌薬投与の直前に採取する。

4. 不明熱 (確定診断されない膿瘍, チフス, ブルセラ症)
 a. 初めに異なる部位から2セットを採取し, さらに24〜36時間後に, 体温が上昇する前にさらに2セットを採取する。
 b. 4セットを超える培養はあまり有効ではない。

 血液培養における材料採取のタイミングで最も重要なことは, 抗菌薬の開始前に採取するよう努めることです。治療開始後では, 菌検出の可能性が極めて低くなるようです。従いまして, 抗菌薬投与中では血中濃度が最も低い (トラフ値レベル) と予想される次回の抗菌薬投与直前に採取すべきです。


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