■β-D-グルカンとカンジテックについて 
【質問】β-D-グルカンの検査があります。カンジテックを実施していて, 実際の細菌検査の結果と一致しなく, β-D-グルカンのほうがあうような感じをもっていますが(何件かのデモで),β-D-グルカンの検査に代えてしまっても良いのでしょうか。カンジテックの良い点もありますか。 
 

【回答】カンジテック(CAND-TECR)は, Candidaによる真菌症, Candida血症などの診断や, 治療効果のモニタリングの簡易キットとして使われています。カンジテック試薬と反応する物質, “抗原”は, Candidaの細胞成分自体ではなく, 補体第3成分と少量のCandidaマンナンを含む4000kDa以上の巨大な複合分子で, Candidaの菌体成分の生体内修飾産物と推定されています。従って, カンジテックはCandida症の特異検査でないので, リウマチ因子強陽性, 腎機能不全, ウイルス性疾患など他疾患においてしばしば陽性となります。御指摘のように臨床症状と不一致例も少なくないと考えられます。カンジテックは, ラテックス凝集反応を原理としているので, 数分で判定結果が得られる簡便迅速法である点は利点ですが, 特異性に問題があります。真菌の特異検査としてβ-グルカン検出検査が可能となり, 現状においてはカンジテックをあえて使用する理由はないと考えます。(私達も, β-グルカンの特異検出ができなかった時点では使用していましたが, 現在はβ-グルカンの検出を緊急検査として行なっています。)

(昭和大学・中村 良子)

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