■ 新感染症予防法と検査室のバイオハザード対策
  • 感染症新法とチフス菌の取り扱い
【質問】私の検査室は普通の検査室で特にバイオハザードの設備がありません。もし2類感染症のチフスの疑いで検体が提出されたらどのようにしたらよいですか??? 新しい法律では検査してはいけないのでしょうか???   また分離された菌コロニーがSalmonella typhiと同定されたらどのようにしたらよいですか??? 

【回答】
1. チフス菌検査の実施について
 感染症新法において, 検査室設備に関する法的な制限はありません。この為, 安全設備を有しない検査室でのチフス菌の検査は, 「感染しないように実施せざるをえない」のが現状です。

2. チフス菌と同定された場合の対応
 生化学的反応, Vi抗原, O抗原にて正しくチフスと同定された場合は, 検査室の責任者より直ちに主治医に連絡します。次に主治医が所轄の保健所へ2類感染症として届け出を行います。ここで保健所長が主治医より患者の臨床症状, 職業などの情報を聞き, 入院勧告を出すか, 自宅通院させるか, または就業制限をするか等について決定します。
さらに, 同定菌株については, 所轄の保健所または衛生研究所より譲渡依頼が来ますので保存しておく必要があります。また, 近年, 薬剤耐性菌も散見されるため正しい治療薬選択のために感受性試験を実施しておくことも検査室の役割です。

(大阪大学・浅利 誠志)

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