02/04/30
■留置カテーテル挿入患者での膀胱洗浄
【質問】
 看護師です。寝たきり患者様に, 3ウェイのオールシリコン留置カテーテルを挿入し, 週2回, 生食 500 mlの中にイソジン 5 mlを入れた洗浄液で持続膀胱洗浄をしています。しかし, 尿の混濁や尿漏れが起きてしまいます。このような方法では細菌感染や尿漏れを改善できず困っています。留置カテーテルを挿入せず, オムツを使用する方法も考えられますが, 褥瘡などの心配もあり, 留置カテーテルで対応しているのですが。
 また, イソジン液を使用せずに, 生食 500 ml だけのほうが良いのでしょうか。持続膀胱洗浄の効果はどうなのでしょうか。具体的に教えて下さい。膀胱洗浄をすることで, 細菌を中へおし込んでしまうのでしないほうがよいと言う説も聴いた事がありますが, どうなんでしょうか。生食の中にイソジン液をいれて洗浄することはどのような効果が得られているのでしょうか。効果的な方法を教えて下さい。
 カテキン (緑茶) の洗浄が効果があった報告をしりましたが, どのようにしてカテキン液で膀胱洗浄をすればよいのか方法と手技を教えて下さい。

【回答】
1. イソジン液を使用せずに, 生食 500 ml だけのほうが良いのでしょうか?
 イソジンまたはポリミキシンBなどの薬剤を用いた膀胱洗浄と生食を用いた場合の効果は, 「差がない」・・というのが現在の見解です。理由は留置しているカテーテルの内腔およびカテーテルと尿道が接触している部分にバイオフィルムが形成されるためです。消毒剤および抗菌剤はこのバイオフィルム内の細菌に作用出来ないために菌が消失しません。開放性の尿カテを使用している場合, 4日間の使用で100%尿路感染を起こすと考えて下さい。ですから, 開放性の尿カテを使用している場合は, 1週間に2回の交換が基本となります。また, 閉鎖系の尿カテを使用している場合でも, 一度尿路感染を起こした場合は, 同様の理由で継続留置をしていると治りません。イソジンは生体内に使用した場合は, 蛋白成分の影響ですぐに失活するため持続洗浄は無効です。
2. カテキンの洗浄効果について
 私は経験がありませんのでコメントできませんが, もし効果があるとすれば緑茶のカテキン成分がバイオフィルム形成を阻止するか, 出来上がったバイオフィルムに浸透して抗菌活性を示すと考えられます。しかし, 基本的にオムツの使用ができるのでしたら, 褥瘡防止ベッドを用いて, オムツを使用されたらいかがでしょうか? そして, 尿路感染が治癒したら, オムツ→閉鎖系尿カテ→感染疑い?→オムツ・・・と, サイクリングされるのも一法かと思います。
 カテキンの使用方法については, 発表された方の論文をご参照下さい。

(大阪大学・浅利誠志)

[戻る]