04/01/27
04/01/29
■ カルバペネム系抗生物質, カルベニンについて
【質問】
 はじめまして。JARMAMのホームページを見て, 質問させていただきました。

 “強いけいれん”を起こし, 緊急入院した子供に, カルベニンと抗けいれん剤を使用するという話になっているのですが, 効果や副作用がとても気になります。お忙しいところ恐縮ですが, 以下の質問にご回答いただけましたら幸いです。宜しくお願い致します。

(1)「カルベニン」は, グラム陽性菌からグラム陰性菌まで幅広く, 強力な抗菌力を有するときいていますが, α溶連菌に対してはどのような効果があるのでしょうか???

(2) カルベニンにはどのような副作用があるのでしょうか。特に, 血液に対しての副作用を具体的に教えていただけたらと思っております。

(3) カルベニンと抗けいれん剤を併用する場合, どの抗けいれん剤 (薬品) を使用するのが好ましいのでしょうか??? (デパケン各製剤の場合, 血中濃度低下になると聞いています)

(4) カルベニンと上記 (3) で教えていただいた抗けいれん剤を併用した場合, どのような副作用があるのでしょうか??? これも血液への副作用について教えていただけますでしょうか。

【回答】
(1) α溶連菌は, 溶血性連鎖球菌の略称です。「カルベニン」の効能効果の中にレンサ球菌属が含まれますので, α溶連菌に対し殺菌的に作用すると考えられます。

(2) 重大な副作用として

1. ショック (初期症状: 不快感, 口内異常感, 喘鳴, 眩暈, 便意, 耳鳴, 発汗など)
2. 皮膚粘膜眼症候群, 中毒性表皮壊死症
3. 急性腎不全
4. 痙攣, 意識障害
5. 偽膜性大腸炎
6. 肝障害
7. 無顆粒球症, 汎血球減少症, 溶血性貧血
8. 間質性肺炎 が報告されています。
 血液の副作用としては, 0.1〜5%の頻度で「貧血, 好酸球増多, 白血球減少, 血小板増多, 血小板減少」が発生すると報告されています。

(3) バルプロ酸ナトリウム (デパケン, バレリン, ハイセレニンなど) との併用はバルプロ酸の血中濃度が低下するため, 併用禁忌 (併用しないこと) になっています。代用薬として考えられる抗てんかん薬としては, フェニトイン, フェノバルビタール酸, ゾニサミド, ジアゼパム, クロナゼパム, カルバマゼピンなどが考えられます。

(4) バルプロ酸以外で, 併用による副作用の増強はないと思います。

(琉球大学・糸嶺 達)


【質問者からのお礼】
 ご多忙中のところ, 詳細なご回答有難うございました。とても参考になりました。


[戻る]