■ セレウス菌について教えてください | |
【質問】
初めて質問させていただきます。私は食品会社で衛生試験を担当しています。 早速ですが, セレウス菌について教えて下さい。 (1) 栄養細胞の時, 環境が良いと芽胞を持たずに増殖し続けるのでしょうか? (2) 環境が悪くなると芽胞を形成し, 休眠状態に入った場合, その後環境が良くなったら, その芽胞が栄養細胞になるまでの時間はどれくらいかかりますか? また反対に, 栄養細胞が芽胞を作るまでにはどれくらいかかるのでしょうか? (3) NGKG卵黄加寒天培地に芽胞のみが塗末された場合, コロニーは検出されますか? (4) これは各衛生試験に共通しての質問ですが, 判定時間以降に検出された菌は無効として良いのでしょうか? 極端な話ですが, 24時間の時にセレウス菌が検出されなかった培地に48時間後コロニーが発生しても陰性として良いのでしょうか? 初歩的な質問で済みません。宜しくお願い申し上げます。 【回答】
次いで (2) の質問ですが, 芽胞は容易に形成されます。Bacillus cereus (セレウス菌) ではありませんが, 同属菌種である Bacillus subtilis (枯草菌) を供試して実施した私自身の経験 (ヒツジ血液寒天培地を用いての未発表デ−タ) では, 芽胞形成に要した時間は10分間程度とかなり短時間でした。また, 煮沸10分間の熱処理後の (芽胞以外は死滅している) サンプルを, 血液寒天培地で一夜培養すると, コロニ− (集落) の発現が観察されることからも, 芽胞から栄養型への変化も容易と思われます。私が経験した未発表で−タは B. subtilis(枯草菌)ですが, B. cereus(セレウス菌)にも当てはまる成績と考えられます。 次いで (3) の質問ですが, (2) での回答で, ヒツジ血液寒天培地にて集落形成を認めたことを示しましたが, NGKG 卵黄加寒天培地においても, 同様に集落を形成すると思われます。 最後の (4) のご質問ですが, 残念ながら「食品衛生検査指針」や「衛生検査・注解」が私の手もとに現在ありませんので詳細は判りかねます。しかし, 食品衛生においては, 「食品衛生検査指針」に乗っ取って実施すれば, 検査不備を「法的」に問われることはないと思います。しかしながら食品検査は, 国民が安心して“食”を入手出来ることを目的に制定されているものなのですから, 可能ならば, 培養は長めに設定するほうが道義的にも好ましいと考えます。しかし, 法的責任を回避できるか否かについては, 「食品衛生検査指針」や関連注解に試験法が明記されていると思いますのでご自身でご確認下さい。 (信州大学・川上 由行)
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