02/08/29
■セレウス菌について教えてください (その2)
【質問】
 先日セレウス菌の質問を致しました者です。川上由行先生 (信州大学), ありがとうございました。
 現在, セレウス菌の殺菌法 (オートクレーブ(121℃, 20分) 以外) を検討しています。試験法として, 液体ブイヨンで24時間前培養したセレウス菌を試料に植菌し, 2時間の自然乾燥をして各検討を行っているのですが, 殺菌処理をしない検体の菌数が予定菌数より減少してしまいます。(予定菌数は植菌した菌液を希釈してNGKG卵黄加平板培地で測定をし, 植菌した菌数を算出しています。)菌が自然乾燥で死滅したとは考えられず, 前培養時に栄養細胞のみで増殖した菌をすぐに植菌してしまったため(???)と考え, 前回のような質問を致しました。先生のお答えより, 10分間で芽胞から栄養細胞, またその反対も起こるとのことでしたので, 植菌した菌が栄養細胞でも芽胞でも増殖はしていく・・・ではなぜ菌数が減少してしまったのか・・・??? 菌の前培養法が間違いでしょうか?
 お忙しいところ申し訳ございません。宜しくお願い申し上げます。

【回答】 
 早速にお答えします。セレウス菌に関する質問の続編ですが, 質問内容が難解です。「試料に植菌」とありますが,「自然乾燥」してという記載がありますので, 何かの表面上に菌液を塗抹してということでしょうか??? もしそうでしたら, 菌数が減少するのは当然の現象でしょう。対照の取り方が明確でないので判りかねますが,「殺菌法」施行の有無以外は, すべての条件が同一でない限り効果の比較評価は不可能です。セレウス菌は芽胞形成菌であるので確かに乾燥に対して抵抗性をもちますが, 芽胞形成サイクルに移行できずに死滅していく菌体細胞の存在は当然のことながらあるのです。

 「植菌した菌が栄養細胞でも芽胞でも増殖はしていく」というところの私の回答については, 回答の意図する意味の解釈の取り違いですね。環境条件の悪化により栄養型の「一部」は, 確かに芽胞を形成して死滅を免れ, 次の増殖の機会まで待機する休眠状態をつくっていると, 質問者には解釈していただきたいと考えます。

(信州大学・川上 由行)

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