02/09/20
■ クリーン・ルームでのクラス表示
【質問】
 以前, 簡易式クリ−ンル−ムでの清浄度の評価について, 質問させて頂きました。丁寧かつ, わかりやすく答えて頂き, ありがとうございました。あれから業者の方のご厚意もあり, 一日がかりで, 実際に塵埃を測定し, 値として清浄度を知ることができました。実際に設置した業者ではなく, 病院に出入りしている医療機器の方が仲立ちしてくださって実現しました。
 前置きが長くなりましたが, そもそも“クリーンルーム”の定義は何でしょうか??? クラスという言葉で表されるようですが, 規定があるのでしょうが, 上手く探し出すことができませんでした。大変申し訳ありませんが, よろしくお願いします。

【回答】
 クリーン・ルームには, 工業用クリーン・ルームと生物学的クリーン・ルームのふたつがあります。我々, 微生物学に関わっている者には専ら生物学的クリーン・ルームが対象になります。このクリーン・ルームの技術的発展には, 原爆を開発したマンハッタン計画でのHEPAフィルターの開発と, 宇宙空間からの, 宇宙空間への微生物学的汚染が問題となるNASA計画のふたつが大きく貢献しました。

 クリーン・ルームの性能 (定義と考えてください) を示すのに清浄度が用いられますが, その表示方法にもふたつあります。ひとつは, 1立方フィートの容積に含まれる基準粒子 (塵埃) の数を表したものであり, もうひとつは1立方メートルの容積に含まれる基準粒子 (塵埃) の数を10のべき数 (10^nのn)で表したものです。この規格は, 各国で多少違ってきます。例えば, アメリカ合衆国では0.5μmサイズの基準粒子を用い, 1立方フィートの容積に含まれる基準粒子の数をそのまま表します (連邦政府規格 209D)。しかしわが国では, JISB9920の規格で, 基準粒子は0.1μmサイズで, 1立方メートルの容積に含まれる基準粒子の数を10のべき数で表します。購入されたクリーン・ルームが外国製の場合には注意してください。詳細は次のアドレスを参照ください。
http://www.snk.co.jp/clean/clean06.html
 ちなみに, アメリカ合衆国で採用されています連邦政府規格 209Dでの微生物の濃度は, クラス 100のクリーン・ルームで0.1個以下/1立方フィート, 1週間の落下微生物数は1,200個/1平方フィート/週, クラス10,000では0.5個以下/1立方フィート, 1週間の落下微生物数は6,000個/1平方フィート/週, クラス100,000では2.5個以下/1立方フィート, 1週間の落下微生物は30,000個/1平方フィート/週とされています。

(琉球大学・山根 誠久)

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