■ 大腸菌群検査について教えてください | |
【質問】
はじめまして。Web上の【微生物質問箱】よりメールいたしました。私は宮城県にある米の加工メーカーに勤務しています。早速ですが, 現在, 弊社にて他社の【ごましお】を受入検査 (微生物) したところ, 以下のようになりました。検査方法は試料 10 gを90 mlの生理食塩水で希釈し, ホモジナイズした調整液をシャーレに分注。大腸菌群検査にて: (1) 推定試験となるデスオキシコレート寒天培地 (極東製薬製) でのコロニーは確認できず, “陰性”。 (2) 同推定試験のBGLB培地での変色, ガス産生は“陽性”。 (3) 上記 (2) より確定試験のEMB培地に画線培養をすると黒色コロニーを確認 (金属光沢はなし)。 (4) 上記 (3) より完全試験のLB培地にて培養すると, 変色・ガス産生が“陽性”。 (5) 最後にLB培地より標準寒天培地に純培養し, グラム染色すると, グラム陰性の球菌と判断。 以上のようにBGLB→EMB→LB培地まで生育可能なグラム陰性の球菌っていったい何菌でしょうか??? また, これを大腸菌群に入れてもよいのでしょうか??? また, ごましおの納入業者に確認したところ【ごま】の微生物検査は基本的にBGLBでは行わず, デスオキシコレート培地のみで行っていると言われました。なぜかというと, 【ごま】製品ではBGLBで陽性反応を示しやすい (偽陽性) ためと言うのですが・・・・その真偽は如何でしょうか。食品衛生検査指針上, BGLBで陽性反応を示した以上, 確定試験, 完全試験まで行う必要があると思うのですが。最初からBGLBをやめてしまって, デスオキシコレート寒天培地のみで良いものでしょうか??? 以上、宜しくお願い致します。 【回答】
(1) 検体中に含まれていた生菌数は不明ですが, 菌量が少ない場合には寒天培地では菌集落の形成が見られず, 液体培地のみで増殖, 検出される場合があります。 (2) BGLBによる推定試験について この試験においては, 酵母などが陽性反応を示す場合があります。陽性反応を示した場合, 「確定試験に移る前にグラム染色を実施する」必要があります。これは「大腸菌群は好気性あるいは通性嫌気性のグラム陰性桿菌」であることが前提であることによります。 (3) EMB培地での「グラム陰性球菌」は実際に「球菌」であったのでしょうか。分類上では好気性あるいは通性嫌気性の「グラム陰性桿菌」はNeisseria spp.のみです。「短桿菌」と「球菌」の区別は微妙なものがあります。また菌の形態は培養条件・培地により著しく変わることがあるので注意が必要と考えます。 (極東製薬工業・江成 博)
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