■デソキシコレート培地に発育したセラチア属菌 | |
【質問】
公衆浴場の薬湯の大腸菌群検査を行いました。デソキシコレート培地を用いて20時間培養したところ, 大腸菌の典型的な2 mm程度の赤色コロニーのほかに, 0.5 mmの周辺が白っぽく中心部が赤いコロニーや, 0.5 mmの周辺が白っぽく中心部が桃色のコロニーを検出しました。これらのコロニーについて同定を行ったところ,前者はE. coli, 後者はセラチア属菌でした。この小さなコロニーのセラチア属菌も“大腸菌群数”としてカウントするのでしょうか??? 【回答】
さらに, 今回は薬湯の検査とのことですので, 大腸菌群が薬湯中に存在していても通常の元気な状態とは考えられにくく, 菌自体にダメ_ジがあるとも推察できます。デソキシコレ_ト培地は胆汁酸を含むため, 通常の元気な大腸菌群でも稀ではありますが矮小型コロニ_を形成する場合もあります。 以上のことより, デソキシコレ_ト培地に発育した大小の赤系コロニ_は大腸菌群として数えた方が良いと考えられます。また質問者は, 同定をして確認されているとのことですので, デソキシコレ_ト培地の写真 (デジタルカメラを使うと便利です) を撮影しておき, 参考資料として蓄積して行くことが検査室の向上につながると思えます。 回答者は30年近くデソキシコレ_ト培地を使用していますが, 大腸菌群測定時には, いつも悩みながら菌数測定をしています。また, このような悩んだ経験から, 大腸菌群測定にはデソキシコレ_ト培地を使うと同時に, 酵素基質培地(X-GAL寒天培地やXM-G寒天培地など) を併用しています。 (日水製薬・小高 秀正) |