03/10/28
03/11/04
■ ヂアミトール水による消毒綿球作成について
【質問】
 病院検査科の採血室に勤務している臨床検査技師です。採血の時アルコールにかぶれる患者さんのためにその都度「0.025 w/v%ヂアミトール水」を滅菌綿球に浸し, アルコールの代用として消毒しています。作成後は1日で使い切っています。「0.025 w/v%ヂアミトール水」の使用上の注意書きには【中栓を取り除いた場合には改めて滅菌する事】と書かれていますが, そのようには使用せず, 素手で中栓を外して綿球のカップに注いでいます。1回に使用するヂアミトール水はほんのわずかな為, 開栓後何ヶ月も室温に置いたまま使用し続けることになります。メーカーの話では『文献によってはヂアミトール水のような調整したものは開栓後は7日〜14日以内に使用との記載もある』とのことです。注意書きどおりには使用していない今の方法で問題はないのかお教え下さい。

【質問者からの追記】

 偶然見つけた『質問箱コーナー』の回答の丁寧さに本当に感激しています。また質問の行間に, 日常業務に疑問や理解出来ないことを抱えながら, それを何とか解決したり, 理解しようとしている多くの真摯な人たちの姿を垣間見て, とても励みになっています。回答出来ないくらいの質問が寄せらているとのことですが, 当然と思いながらも, 自分の出した質問にはいつか回答がもらえるのかと淡い期待を寄せています。身勝手かもしれませんが, よろしくお願いします。

【回答】
 ヂアミトール水 (塩化ベンザルコニウム液) は清潔に取り扱えば, 分割使用しても微生物汚染を受けることはありません。したがって, 3ヶ月程度までの分割使用を行っても差し支えありません。ただし, 容器の注ぎ口やキャップの内側に手指などが触れたら, その時点で廃棄としてください。ご指摘の通り,「塩化ベンザルコニウム」は綿球に吸着されるので, 綿球を作る際には消毒剤の量を十分に用意することや, 長期間使用により微生物汚染が考えられるため, 使用後は頻回に新しいものに取り替えることなどが注意点として挙げられます。

〔参考文献〕

プラクティカル滅菌・消毒Q&A, 尾家重治著, (株) メディカ出版

 なお, 注射の前のアルコール消毒は必要か??? 医療関係者も, 一般の方も,「こんなバカな質問はするな。普通は注射の前のアルコール消毒は必要だ。どこでもやっているし消毒もしないで注射したら訴えられる」と答えるはずです。ところが「注射の前のアルコールによる皮膚消毒は意味がない」というホームページを見つけました。山形市立病院済生館形成外科の夏井睦先生のホームページです。

興味のある方はご覧下さい!

(琉球大学・糸嶺 達)

【質問者からのお礼】
 お忙しい中, こんなにも早くご回答くださり, 本当にありがとうございました。早速今後の業務に生かしたいと思います。これからもよろしくお願いいたします。私も以前「注射前のアルコール消毒は必要か?」のホームページは見ており, 考えてしまったことがあります。ですが, 毎日アルコール消毒してから採血しながら,【万が一消毒が十分されていなくても, 採血部位からの細菌感染の危険性はほとんどない】というデータなのだというように解釈しています。


[戻る]