03/08/12
■ エチレンオキシド (酸化エチレン) の滅菌の仕組み
【質問】
 はじめまして。お尋ねします。

 病院の滅菌法として, エチレンオキシドを使用していますが, エチレンオキシドガスが殺菌をする仕組みを教えていただけますか??? エチレンやオゾンの他にも殺菌効果があるガスはあるのでしょうか??? よろしくお願いします。

【回答】
 エチレンオキシド (酸化エチレン) は“アルキル化剤”として働き, 微生物のもつ核酸の−NH2基や−OH基, また蛋白に含まれる−COOH基や−SH基と反応してこれをアルキル化します。このアルキル化反応は非常に強固で, 元に戻ることがありません (不可逆的反応)。

[注釈]アルキル化反応とは, 一般に化合物の水素原子を炭化水素などの有機基で置換する反応のことです。アルキル化剤の多くは遺伝子変異を起こしたり, 発癌物質としての性質をもちます。

酸化エチレンガスやオゾンの他に, 滅菌・消毒の目的で用いられているガスには, ホルムアルデヒド蒸気 (formaldehyde: アルキル化剤), 過酸化水素蒸気 (酸化剤), プラズマガス (過酸化水素ガスプラズマ: H・, HO・, HOO・といったラジカル反応), 二酸化塩素 (chlorine dioxide: 酸化剤で蛋白のみ変性) といったガスが用いられています。

(琉球大学・山根 誠久)

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