04/01/21
04/01/26
■ 酸化エチレンと糸状菌
【質問】
 京都の学生です。初めて質問させていただきます。

 卒業論文のために酸化エチレンのことをいろいろと調べています。しかし, “どのくらいの濃度であれば糸状菌を殺せる”のかが分かりません。労働安全基準法に基づく作業環境濃度が1 ppmとなっていますが, それよりも低いのでしょうか??? どうか教えてください。

【回答】
 病院で使用されているEOガス容器は種類が色々ありますが, 5〜20% (容積比) の濃度範囲で規格化されています。残りのベースガスが炭酸ガスです。ガス滅菌装置をお使いだと思いますが, その装置に使用されている容器をご覧になればラベルに濃度が書いてあります。ガス滅菌装置の中は空気との混合状態になりますので最大濃度でも5〜20%と判断できますが, 空気に希釈されるのでそれ以下であると思います。

(琉球大学・糸嶺 達)
【回答の補足】
 まず理解して欲しいのは, 酸化エチレンは, “滅菌”を目的に使用されている訳ですから, 芽胞を含む“すべての微生物に有効”です。当然のことながら, 糸状菌もこれらの微生物のなかに含まれます。

 次に理解して欲しいのは, 酸化エチレンの殺菌効果は“化学反応”ですから, 濃度のみに依存しているわけではありません。化学反応の進行を決定する要因としては, 濃度以外にも温度, 湿度, 反応時間などがあります。酸化エチレンの滅菌は, 通常, 37〜60℃, 湿度50〜60%, EO濃度 450〜1000 mg/Lで, 2〜4時間といった条件で行われています。 


(琉球大学・山根 誠久)
【質問者からのお礼】
 詳細な回答をありがとうございました。非常に参考になりました。

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