04/02/13
■ エチレンオキシド (酸化エチレン) について
【質問】
 はじめまして。エチレンオキシド (酸化エチレン) についてお尋ねします。

 エチレンオキシド [(CH2)2O] が核酸やたんぱく質をアルキル化することで滅菌をするのはわかったのですが, 反応後のエチレンオキシドの生成物は何になるのでしょうか??? 水と反応するとエチレングリコール[(CH2OH)2]が生成されるのは調べられたのですが, やはり滅菌した際もエチレングリコールができるのでしょうか??? 

 またエチレングリコールの毒性や臭いについても調べられなかったので, お尋ねしたいと思います。宜しくお願いします。

【回答】
 エチレンオキシドは構造的に (C-O-Cの結合が大きく歪められているため) 非常に活性の高い化合物です。殺菌機序は, 微生物のもつ核酸の水酸基 (OH-) やアミノ基 (NH2-) などの置換基と反応し, C-O結合が開裂して環が開きます (結果的にアルキル化: R-OH + (CH2)2O → HO-CH2-CH2-O-R)。二次的生成物としては, エチレンクロロヒドリンやポリエチレンオキサイド・エチレングリコールなどがあります。

 エチレングリコールの物性と毒性ですが;

物性: 無色, 甘味を持つ粘稠な液体。沸点が197.6度のため, 臭いに関する記載はありません

毒性: 不凍液として使用されているため注意が必要です。中枢神経症状として, 嘔吐, うとうとする, 昏睡状態, 呼吸不全, 痙攣, 腎障害から無尿, 尿毒症から死にいたる場合もあります。

 エチレンオキサイドを滅菌に使用することは「毒をもって毒を制する」ことであり, その化学的特性を十分に熟知していなければなりません。また, 滅菌後の残留ガスは人体に害をあたえる大きな要因であるので十分な注意が必要です。

(琉球大学・糸嶺 達)


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