■ フラボバクテリュウム菌って, どんな細菌ですか??? | |
【質問】
フラボバクテリュウム菌について教えて下さい。患者さん痰より検出されました。あまり聴いた事のない菌なので教えて下さい。 【回答】
さてお尋ねのFlavobacterium属ですが, この名称は黄色の小桿菌と言う意味であり, 多くの菌種が非水溶性の黄色色素 (レモン色, オレンジ色, 淡黄色など) を産生する特徴をもっています。現在22菌種がFlavobacterium属に含まれていますが, 臨床材料から分離されているのはFlavobacterium mizutaiiやFlavobacterium odoratum などの限られた菌種です。ただし, 分類の統廃合により以前Flavobacterium属に含まれていた菌種の中には臨床材料や病院環境から分離されているものもあります。例えばCryseobacterium meningosepticum、Cryseobacterium indologenes、Sphingomonas paucimobilis、Empedobacter brevis、Sphingobacterium spiritivorum、Sphingobacterium multivorum などはすべてFlavobacterium属に含まれていた菌種です。 臨床材料から分離されるこれらの菌種は, ブドウ糖を発酵分解できない好気性グラム陰性桿菌であり,
土壌, 淡水などに生息し, 人に病気を起こすもの, 魚類の病原性となるもの, そして食品工業関係では腐敗菌として問題視されています。人の病原菌として重視されているのはCryseobacterium meningosepticumであり,
菌名の由来meningos (脳髄膜), septikos (腐敗性の) どおり新生児化膿性髄膜炎患者や敗血症患者の血液や脳脊髄液から検出されています。ただし,
多くの場合は免疫不全患者など抵抗力の減弱した患者での感染症であり, 尿や喀痰などから検出した場合は臨床症状と合わせ起炎菌かどうかを慎重に判断すべきでしょう。さらにこれらの菌種はあらゆる病院環境
(水道の蛇口, 流し台, 加湿器, 薄いヒビテン溶液など) からも検出されることから,
白血病患者や臓器移植後患者など高度免疫療法を行っている患者の環境整備にも十分な配慮が必要と言われています。
(大手前病院・山中喜代治)
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