■ 糞便由来のKlebsiella oxytoca | |
【質問】
いつも大変参考にさせていただいています。○×総合病院の検査部で細菌検査を担当している臨床検査技師です。 先日, 入院患者の便培養からKlebsiella oxytocaが検出されました。純培養状に検出されたわけではなく, 他にE. coliやK. pneumoniaeも同程度の菌量で検出されていたのですが, 腸炎を疑っているようだったので『入院患者だから, 抗菌薬関連腸炎の可能性も含めて考えているのかも???』と思い, K. oxytocaが検出されたことを報告しました。その後, 看護師から「薬剤感受性試験が実施されていないが, 何故か」との問い合わせがあったので, K. oxytocaは抗菌薬関連腸炎の原因菌なので, 薬剤感受性試験は原則実施していない旨を伝えたところ, 「主治医はそれを疑っておらず, 薬剤感受性試験の結果を見て処置をすると言っているので, すぐ実施してほしい」と言われました。それを聞いて, 『抗菌薬関連腸炎を疑っていないのであれば, K. oxytocaは単純に腸内の常在菌としてとらえてよいのではないか』と考え, 主治医に直接, 薬剤感受性試験の必要性を確認してみました。すると主治医から「最近K. oxytocaは病原性があると言われているんだ。細菌の知識もない者がごちゃごちゃ言わずに薬剤感受性試験を実施しろ!!!」という返答がかえってきました。自分ではいろいろと勉強していたつもりだったのですが, 最新情報にはついていけていなかったのかもしれないと思い, 文献など調べましたが, やはり便から検出されるK. oxytocaは抗菌薬関連腸炎としか分かりませんでした (文献が古いのでしょうか???)。そこで, 便から検出されたK. oxytocaについて, 本当に抗菌薬関連以外にも病原性があるといわれているのか, またそれはどのようなものなのか (症状など) を教えたいただきたいのです。『細菌の知識がない』といわれたのは本当にショックでした。どうかよろしくお願いいたします。 【回答】
私もこのような“苦い経験”が何度かありますが,逆にこのように叱ってくれる (返事が返ってくる) 先生は,後でいろいろと相談にのってくれたり,自分で問い合わせの電話をしてくれたりするようになることがあります。これを逆にチャンスと思って, ご自分で調べられた文献などの資料を持って先生のところへ相談しに行かれたらいかがでしょうか。案外親身になって話を聞いていただけるかも知れません。今回, 質問者の方の対応は勇気ある行為であり,過剰投薬を防ぐ意味においても大切なことだと思います。これを契機に, 臨床とのよりよい関係を築かれることをお祈りします。 (公立玉名中央病院・永田 邦昭)
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