04/01/20
Gardnerellaの薬剤感受性試験
【質問】
 Gardnerella属はバンコマイシンなど多くの薬剤に対して感受性で, β−ラクタマ−ゼ産生菌も検出されていないようなのですが, Gardnerellaが起炎菌として検出され

た場合, 薬剤感受性試験を行なうことは必要なのでしょうか??? また, 試験を行なう場合にはどのような方法で行なえば良いのでしょうか???

【回答】
 Gardnerella vaginalisは細菌性膣炎の唯一の原因菌ではなく, ひとつの原因菌種にすぎません。しかし早産や新生児敗血症の原因菌種にもなります。G. vaginalisは, 健康な若い女性の膣からも検出されるため, 細菌性膣炎診断のgold standardはG. vaginalisの培養ではなく, 膣分泌物の直接検査 (臭いや染色でのclue cellの検出とLactobacillusの減少)です。このようなことからG. vaginalisが検出されても起因菌として決定するのは困難な場合が多いのです。

当院ではclue cellがグラム染色で認められた場合のみG. vaginalisの培養を実施し, 検出された場合には, 細菌学的には起因菌の可能性があることを報告しています。

Metronidazoleが細菌性膣炎の一般的治療薬として使用されていますが, 多くの検査室ではmetronidazoleの薬剤感受性試験は実施されていないと思います。またご質問にもあるように, 現在のところG. vaginalisのβ_ラクタマーゼ産生株も報告されていませんので, G. vaginalisによる全身感染症の場合でもampicillin あるいはamoxicillinで治療できるとされております。そのためG. vaginalisの薬剤感受性試験の必要性はないと考えます。またNCCLSにも測定方法がありません。

これらのことから, 当院では薬剤感受性試験は実施しておりません。検出されても同定検査で終了しております。ちなみにG. vaginalisの同定はAPI Coryneで容易に同定できます。

(琉球大学・仲宗根 勇)


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